2023年01月12日 23:31
第十一章 (マトフェイ福音)
1 イイスス十二門徒に命じ畢りて、彼處より移り、其諸邑に敎を傳へ、道を宣べたり。
2 イオアン獄に在りてハリストスの行ふ所を聞き、其門徒の二人を遣して、
3 彼に謂へり、來るべき者は爾なるか、抑我等佗の者を俟つべきか。
4 イイスス彼等に答へて曰へり、往きて、聞く所見る所をイオアンに告げよ、
5 卽瞽者は明き、跛者は歩み、癩者は潔まり、聾者は聽き、死者は起き、貧者は福音す。
6 凡そ我の爲に惑はざる者は福なり。
7 彼等が去りし後イイスス イオアンの事を擧げて民に謂へり、爾等何を觀んとして野に出でしか、風に動かさるる葦か、
8 抑何を觀んとして出でしか、柔き衣を衣たる人か、視よ、柔き衣を衣る者は王の宮に在り。
9 然らば何を觀んとして出でしか、預言者か、然り、我爾等に語ぐ、彼は預言者よりも大なり。
10 蓋彼は夫の錄して、視よ、我我が使を爾の面前に遣し、爾に先だちて爾の道を備へしめんと、曰はれたる者なり。
11 我誠に爾等に語ぐ、婦の生みし者の中、授洗イオアンより大なる者は起らざりき、然れども天國に於て至と小き者は彼より大なり。
12 授洗イオアンの日より今に至るまで、天國は力を以て得らる、而して力を用ゐる者は之を奪ふ、
13 蓋悉くの預言者と律法とは預言してイオアンまでに終れり。
14 且若し爾等承けんことを欲せば、彼は來るべきイリヤなり。
15 耳ありて聽くを得る者は聽くべし。
16 抑斯の世を誰に譬へんか、是れ童子、街に坐して、其侶に呼びて、
17 我等は爾等に籥を吹きたれども、爾等踊らざりき、爾等に悲の歌を謡ひたれども、爾等哭かざりきと、云ふ者に似たり。
18 蓋イオアン來りて、食はず、飮まず、人は言ふ、彼魔鬼に憑らると、
19 人の子來りて、食ひ飮む、又言ふ、視よ、是れ食を嗜み酒を好む者、税吏及び罪人の友なりと、惟睿智の子は睿智の義を明にせり。
20 其時イイスス殊に多く異能を行はれし諸邑の悔改せざるに因りて、是れを責めて曰へり、
21 禍なる哉爾ホラジンよ、禍なる哉爾ワィフサイダよ、蓋爾等の中に行はれし異能は、若しティル及びシドンに行はれしならば、彼等は早く麻を衣、灰を蒙りて、悔改せしならん、
22 故に我爾等に語ぐ、審判の日に於て、ティル及びシドンは爾等より忍び易からん。
23 天にまで擧げられしかカペルナウムよ、爾も地獄にまで落されん、蓋爾の中に行はれし異能は、若しソドムに行はれしならば、彼尚存して今日に至りしならん、
24 故に我爾等に語ぐ、審判の日に於て、ソドムの地は爾より忍び易からん。
25 其時イイスス語を續ぎて曰へり、父、天地の主よ、我爾を讃榮す、爾此等を智者及び達者に隱して、之を赤子に顯ししに因る、
26 父よ、然り、蓋是くの如きは爾の旨の嘉せし所なり。
27 萬物は我が父より我に授けられたり、父の外に子を識る者なく、子及び子が顯さんと欲する者の外に父を識る者なし。
28 凡そ勞苦する者及び重を任ふ者は我に來れ、我爾等を安んぜしめん。
29 我が軛を負ひて我に學べ、我は心溫柔にして謙遜なればなり、爾等は其靈に安息を獲ん。
30 蓋我が軛は易く、我が任は輕し。
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