2023年01月15日 13:42
第十八章 (マトフェイ福音)
1 當時門徒イイススに就きて曰へり、天國に於ては孰か大なる。
2 イイスス幼兒を召して、彼等の中に立てて 3 曰へり、我誠に爾等に語ぐ、爾等若し轉じて、幼兒の如くならずば、天國に入るを得ず。
4 故に此の幼兒の如く自ら謙らん者は、是れ天國に於て大なる者なり。
5 又我が名に因りて、是くの如き幼兒の一人を接けん者は、我を接くるなり。
6 然れども我を信ずる此の小子の一人を罪に誘はん者は、寧磨石を其頚に懸けられて、海の深處に沈められん。
7 世は誘惑に由りて禍なる哉、蓋誘惑は來らざるに可からず、但誘惑を來す人は禍なる哉。
8 若し爾の手、或は爾の足爾を罪に誘はば、斷ちて之を棄てよ、爾の爲には、跛或は殘缺にして生命に入るは、兩の手兩の足ありて永遠の火に投ぜらるるより勝れり。
9 又若し爾の目爾を罪に誘はば、抉りて之を棄てよ、爾の爲には、一の目ありて生命に入るは、兩の目ありて火の地獄に投ぜらるるより勝れり。
10 愼みて、此の小子の一人をも輕んずる勿れ、蓋我爾に語ぐ、彼等の天使等は天に於て常に我が天の父の顏を覲る。
11 蓋人の子は亡びし者を尋ねて救はん爲に來れり。
12 爾等如何に意ふか、人若し百匹の羊あらんに、其一迷はば、九十九を山に遺し、往きて、迷へる者を訪ねざるか。
13 若し之を獲ば、我誠に爾等に語ぐ、彼が其羊の爲に喜ぶこと、迷はざりし九十九の者より勝れり。
14 斯く此の小子の一人の亡ぶるは、爾等が天の父の旨に非ず。
15 若し爾の兄弟爾に罪を得ば、往きて、爾と彼と獨處る時に之を諫めよ、若し爾に聽かば、爾の兄弟を獲たるなり。
16 若し聽かずば、一人或は二人を伴ひ、往きて、二三證者の口を以て、凡の言を定むるを致せ。
17 若し彼等に聽かずば、教會に告げよ、若し教會にも聽かずば、爾の爲には異邦人と稅吏との如くなるべし。
18 我誠に爾等に語ぐ、凡そ爾等が地に縛る者は、天にも縛られ、爾等が地に釋く者は、天にも釋かれん。
19 又誠に爾等に語ぐ、若し爾等の中二人地に於て心を合せて、凡の事を求めば、何を求むるに論なく、天に在す我が父より彼等に賜はらん。
20 蓋二人或は三人の我が名に因りて集る處には、我も其中に在るなり。
21 其時ペトル彼に就きて曰へり、主よ、我が兄弟我に罪を得ば、幾次之に免すべきか、七次迄か。
22 イイスス彼に謂ふ、我爾に七次迄と言はず、乃七十次の七倍迄。
23 是の故に天國は、其諸僕と會計せしを欲せし君王に似たり。
24 會計を始めし時、一千萬金の債ある者は彼に曳き來れるあり。
25 其償ふこと能はざるに因りて、主は彼の身と、其妻子と、其悉くの所有とを販ぎて、償はんことを命ぜり。
26 其僕俯伏して、彼を拜して曰へり、主よ、我を寬うせよ、我盡く爾に償はん。
27 其僕の主は憐みて、彼を釋ち、彼に債を免せり。
28 其僕出でて、一人の同僚の、己に銀一百の債ある者に遇ひて、之を執へ、喉を扼めて曰へり、爾が負ふ所を我に償へ。
29 其同僚彼の足下に俯伏して、求めて曰へり、我を寬うせよ、我盡く爾に償はん。
30 然れども、彼肯はず、乃往きて、其債を償ふに至るまで、之を獄に下せり。
31 佗の同僚之を見て、甚憂ひ、來りて有りし處を悉く主に告げたり。
32 其時主は彼を召して曰く、惡しき僕よ、爾我に求めしに因りて、我其債を悉く爾に免せり、
33 我が爾を憐みし如く、爾も亦爾の同僚を憐むべきに非ずや。
34 主乃怒りて、其悉くの債を償ふに至るまで、彼を獄吏に付せり。
35 若し爾等各其心より己の兄弟に其罪を免さずば、我が天の父も亦斯くの如く爾等に行はん。
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