2023年01月15日 13:42
第十九章 (マトフェイ福音)
1 イイスス此等の言を竟りて、ガリレヤを出で、イオルダンの外よりイウデヤの境に來れり。
2 多くの民彼に從ひしに、彼は彼處に於て彼等を醫せり。
3 ファリセイ等就きて、彼を試みて曰へり、人何の故を論ぜず、其妻を出すは宜しきか。
4 彼答へて曰へり、爾等元始に人を造りし者は、之を男女に造れりと讀まざりしか。
5 又曰へり、是の故に人は其父母を離れ、其妻に着きて、二の者一體と爲らん、
6 然らば彼等は旣に二人に非ず、乃一體なり、故に神の耦せし者は、人之を分つ可からず。
7 彼等曰く、然らばモイセイが離書を與へて、之を出すを命ぜしは何ぞや。
8 彼は之に謂ふ、モイセイは爾等の殘忍なるに因りて、爾等に妻を出すを容せり、然れども元始には斯くあらざりき。
9 我爾等に語ぐ、淫の故に非ずして、其妻を出し、他に娶る者は、姦淫を行ふなり、出されたる婦を娶る者も、姦淫を行ふなり。
10 其門徒彼に謂ふ、若し人の其妻に於ける本分是くの如くば、寧娶らざらん。
11 彼曰へり、此の言は、人皆納るるに非ず、乃賦へられたる者のみ。
12 蓋母の胎より生れつきたる閹者あり、又人より閹せられたる閹者あり、又天國の爲に自ら閹せし閹者あり、之を納るるを能する者は納るべし。
13 時に幼兒をイイススに攜へ來りて、彼等に其手を按せて、禱らんことを求むる者ありしに、門徒之を戒めたり。
14 然れどもイイスス曰へり、幼兒を容して、我に就くを禁ずる毋れ、蓋天國は是くの如き者に属す。
15 乃彼等に手を按せて、彼處を去れり。
16 視よ、或人彼に就きて曰へり、善なる師よ、我永遠の生命を得ん爲に、何の善き事を爲すべきか。
17 彼は之に謂へり、爾は何ぞ我を善と稱ふる、獨神より外に善なる者なし、爾若し生命に入らんと欲せば、誡を守れ。
18 彼曰く、何の誡ぞ。イイスス曰へり、殺す毋れ、淫する毋れ、竊む毋れ、妄證する毋れ、
19 爾の父母を敬へ、又爾の隣を愛すること己の如くせよ。
20 少き者彼に謂ふ、我幼り皆之を守れり、尚足らざる者は何ぞや。
21 イイスス之に謂へり、爾完全ならんと欲せば、往きて、爾の所有を售りて、貧者に施せ、然らば財を天に有たん、且來りて我に從へ。
22 少き者此の言を聞きて、憂ひて去れり、大なる資產を有てる故なり。
23 イイスス其門徒に謂へり、我誠に語ぐ、富める者は天國に入ること難し。
24 又爾等に語ぐ、駱駝が針の孔を穿るは、富める者が神の國に入るより易し。
25 門徒之を聞きて、甚驚きて曰へり、然らば誰か能く救はれん。
26 イイスス目を注ぎて、彼等に謂へり、此れ人には能せざる所なり、惟神には能せざる所なし。
27 其時ペトル答へて彼に謂へり、視よ、我等一切を舎てて、爾に從へり、然らば我等何を得んか。
28 イイスス彼等に謂へり、誠に爾等に語ぐ、爾等我に從へる者は、復生の時、人の子が其光榮の位に坐するに及びて、亦十二の位に坐して、イズライリの十二支派を審判せん。
29 凡そ我が名の爲に家、或は兄弟、或は姉妹、或は父、或は母、或は妻、或は子、或は田疇を舎つる者は、百倍を受け且永遠の生命を嗣がん。
30 惟多く先なる者は後になり、後なる者は先にならん。
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