2023年01月15日 13:43
第二十章 (マトフェイ福音)
1 蓋天國は其葡萄園に工人を傭はん爲に、朝早く出でたる家主の如し。
2 工人と一日に銀一枚を約して、彼等を其葡萄園に遣せり。
3 第三時の頃出でて、別に市に空しく立てる者を見て、
4 之に謂へり、爾等も我が葡萄園に往け、我至當の者を爾等に與へん、彼等往けり。
5 又第六時及び第九時の頃に出でて、是くの如く行へり。
6 第十一時の頃出でて、別に空しく立てる者に遇ひて、之に謂ふ、爾等何ぞ終日此に空しく立てる。
7 彼等曰く、我等を傭ふ者なかりし故なり。 彼は之に謂ふ、爾等も我が葡萄園に往け、然らば至當の者を受けん。
8 暮に及びて、葡萄園の主其家宰に謂ふ、工人を呼びて、其値を給せよ、後なる者より始めて、先なる者に及べ。
9 第十一時の頃の者來りて各銀一枚を受けたり。
10 先の者來りて意へらく、是より多く受くるならんと、然れども彼等も各銀一枚を受けたり。
11 之を受けて、家主を怨みて
12 曰へり、此の後なる者は一時のみ勞きしに、爾は彼等を終日の苦勞と暑とを忍びたる我等と等しくせり。
13 彼其一人に答へて曰へり、友よ、我爾に義ならざることを爲さず、爾は我と銀一枚を約せしに非ずや、
14 爾の物を取りて往け、我此の後なる者には、爾と等しく與へんと欲す。
15 或は我の物を以て、我が欲する如く行ふは宜しからずや、抑我が善きに因りて、爾の目惡しきか。
16 是くの如く後なる者は先になり、先なる者は後にならん、蓋召されたる者は多けれども、選ばれたる者は少し。
17 イイスス イエルサリムに上る時、途中獨十二門徒を招きて、之に謂へり、
18 視よ、我等イエルサリムに上る、人の子は司祭諸長及び學士等に付されん、彼等之を死に定め、
19 之を異邦人に付して、辱め、鞭ち、十字架に釘せしめん、而して彼第三日に復活せん。
20 時にゼワェデイの子の母、其子と偕に彼に就きて、拜して求むる所あり。
21 彼は之に謂へり、爾何を欲するか。曰く、我が此の二人の子が爾の國に於て、一は爾の右に、一は爾の左に坐せんことを許せ。
22 イイスス答へて曰へり、爾の求むる所を知らず、爾等我が飮まんとする爵を飮むことを能するか、我が受くる洗を受くることを能するか。彼等曰く、能す。
23 彼は之に謂ふ、爾等は我が爵を飮み、我が受くる洗を受けん、然れども我が右、我が左に坐することは、我が與ふべきに非ず、乃我が父より備へられたる者に與へられん。
24 十門徒之を聞きて、二人の兄弟を慍れり。
25 イイスス彼等を召して曰へり、諸民王侯其民を主り、大人等其上に權を執るは、爾等の知る所なり、
26 惟爾等の中には斯くある可からず、乃爾等の中に大ならんと欲する者は、爾等の役者と爲る可し。
27 爾等中に首たらんと欲する者は、爾等の僕と爲るべし、
28 蓋人の子の來りしは、人を役はん爲に非ず、乃人に役はれ、且己の生命を與へて、衆くの者の贖を爲さん爲なり。
29 彼等イエリホンを出づる時、衆くの民彼に從へり。
30 視よ、道の旁に坐せる二人の瞽者、イイススの過ぐるを聞きて、呼びて曰へり、主ダワィドの子よ、我等を憐め。
31 民彼等を禁めて、默さしむれども、彼等愈呼びて曰へり、主ダワィドの子よ、我等を憐め。
32 イイスス止りて、彼等を呼びて曰へり、我が爾等に何を爲さんことを欲するか。
33 彼等曰く、主よ、我等の目の啓かれんことを。
34 イイスス憫みて、彼等の目に觸れたれば、目直に見るを得て、彼等イイススに從へり。
次章