2023年01月15日 13:44
第二十二章 (マトフェイ福音)
1 イイスス又譬を以て彼等に語りて曰へり。
2 天國は其子の爲に婚筵を設けたる君王の如し。
3 彼其諸僕を遣して、召されし者を婚筵に招きたれども、彼等來るを欲せざりき。
4 又他の僕を遣して曰へり、召されし者に告げて云へ、視よ、我已に餐を具へ、我が牛と肥えたる畜と已に宰りて、一切備はれり、婚筵に來れ。
5 然れども彼等は顧みずして、或者は其田に、或者は其貿易に往けり、
6 餘の者は彼の諸僕を執へ辱しめて、之を殺せり。
7 王之を聞きて怒り、其軍を遣して、彼の兇人を滅し、彼等の邑を燬けり。
8 時に彼其諸僕に謂ふ、婚筵備はりたれども、召されし者は堪へず、
9 故に爾等通衢に往きて、遇はん者を悉く婚筵に招け。
10 其僕途に出でて、凡そ遇ひたる者、惡しきと善きとを問はず、之を集めたれば、婚筵に席坐する者滿ちたり。
11 王は席坐する者を觀ん爲に入りて、彼處に一人の婚禮の服を衣ざる者あるを見て、
12 之に謂ふ、友よ、爾何ぞ婚禮の服を衣ずして此に入りたる、彼默然たり。
13 其時王は役者に謂へり、彼の手足を縛りて、彼を取りて、外の幽暗に投ぜよ、彼處に哀哭と切齒とあらん。
14 蓋召されたる者は多けれども、選ばれたる者は少し。
15 其時ファリセイ等往きて、如何にして彼を其言に因りて罟せんと謀れり。
16 遂に己の門徒をイロドの黨と偕に彼に遣して曰く、師よ、我等は爾が眞なる者にして、眞に神の道を教へ、何人にも偏らざるを知る、蓋爾は貌を以て人を取らず。
17 故に我等に語げよ、爾如何に憶ふか、稅をケサリに納むるは宜しや否や。
18 イイスス其惡意を知りて曰へり、僞善者よ、何ぞ我を試みる、
19 稅金を我に示せ。彼等銀一枚を攜へ來れるに、
20 彼曰く、斯れ誰の像と號なるか。
21 曰く、ケサリの。是に於て彼等に謂ふ、然らばケサリの物をケサリに納め、神の物を神の納めよ。
22 彼等之を聞きて奇と爲し、彼を離れて去れり。
23 是の日サッドゥケイ等、卽復活なしと言ふ者、彼に就きて、問ひて
24 曰く、師よ、モイセイ云へり、人子なくして死せば、其兄弟其妻を娶りて、兄弟の嗣を興すべしと。
25 我等の中に兄弟七人ありしが、第一の者娶りて死し、子なきが故に其妻を弟に遺せり。
26 其二、其三、其七に至るまで皆然り。
27 其後妻も亦死せり。
28 然らば復活には、此の婦は七人の中誰の妻と爲らんか、蓋し皆之を娶れり。
29 イイスス彼等に答へて曰へり、爾等は聖書をも神の能をも知らずして迷へり。
30 蓋復活には娶らず、嫁がず、乃神の使等の如く天に在るなり。
31 死者の復活に付きては、神が爾等に語げて、
32 我はアウラアムの神、イサアクの神、イアコフの神なりと、言ひしことを爾等未だ讀まざりしか、神は死者の神に非ず、乃生者の神なり。
33 民聞きて其訓を奇とせり。
34 ファリセイ等は、彼がサッドゥケイ等に言なからしめたりと聞きて、相集れり。
35 其中なる一人の律法師彼を試みて、問ひて曰へり、
36 師よ、律法の中に何の誡か大なる。
37 イイスス之に謂へり、爾心を盡し、靈を盡し、意を盡して、主爾の神を愛せよ、
38 此れ誡の第一にして大なる者なり。
39 第二は是に同じき者、卽爾の隣を愛すること己の如くせよ。
40 斯の二の誡には悉くの律法と預言者と繫れり。
41 ファリセイ等の集りし時、イイスス之に問ひて
42 曰へり、爾等ハリストスの事を如何に意ふか、彼は誰の子なるか。曰く、ダワィドの子なり。
43 彼曰く、然らば如何ぞダワィドは、聖神゜に由りて、彼を主と稱ふる、云く、
44 主我が主に謂へり、爾我が右に坐して、我が爾の敵を爾の足の凳と爲すに迄れと。
45 然らばダワィド彼を主と稱ふれば、如何ぞ彼は其子たる。
46 一人も之に言を答ふる能はず、是の日より敢て復彼に問ふ者なかりき。
次章