2023年01月16日 13:06
第七章 (エウレイ書)
1 蓋此のメルヒセデクはサリムの王、至上の神の司祭なり、諸王を敗りて歸れるアウラアムを迎へて、此を祝福せし者なり。
2 アウラアムは彼に一切の十分の一を分ちたり。先づ其名を譯けば、義の王なり、次にサリムの王、卽平安の王なり。
3 父なく、母なく、系圖なく、日の始なく、生命の終なく、神の子に似たる者にして、恒に司祭たるなり。
4 觀よ、太祖アウラアムは其尤善き抄掠品の十分の一を彼に與へたれば、其人如何にか大なる。
5 レワィイの諸子の中司祭職を受くる者は、律法の由りて、民卽己の兄弟より、彼等もアウラアムの裔なりと雖、其十分の一を取るべき命を奉ず。
6 然れども其人は、彼等の族より出でずして、アウラアムより十分の一を受け、且許約を奉ずる者を祝福せり。
7 夫れ小なる者が大なる者より祝福せらるるは一も論なきなり。
8 且此には、十分の一を取る者は死すべき人なり、彼には、己の事を彼は生くと、證せらるる者なり。
9 又斯く言ふべし、十分の一を取る所のレワィイは、自らアウラアムに由りて、十分の一を供せり、
10 蓋メルヒセデクがアウラアムに遇ひし時、彼は尚其祖の身に在りたり。
11 是を以て、民はレワィイ司祭職の下に律法を受けたるが故に、若し此の司祭職に由りて完全爲ることを得べくば、何ぞ亦メルヒセデクの班に循ひて他の司祭の興り、アアロンの班に循ひて稱へられざる者を須ゐん。
12 蓋司祭職の易る時は律法も亦易らざるを得ず。
13 此等の言の指す所の者は、他の支派に屬すればなり、卽其中一人も祭壇に奉侍せざりし支派なり。
14 蓋我等の主がイウダより出でしことは明なり、モイセイは此の支派に於て司祭職の事を一も言はざりき。
15 其更に明なるは、蓋メルヒセデクに似たる他の司祭の興るなり、
16 乃肉體の誡の律法に循ふに非ずして、無窮の生命の能に循へる者なり。
17 蓋證するあり、云く、爾メルヒセデクの班に循ひて司祭と爲り、世世に迄らんと。
18 前の誡の廃せらるるは、其弱くして益なきが故なり。
19 蓋律法は一も全うせし所なし、乃更に善き望は入れらる、我等を神に近づかしむる者なり。
20 且此れ誓なくしてあらざりしに因る、 21 (蓋彼の司祭等は誓なく、彼は誓を以て立てられたり、蓋彼の事を言へるあり、主は誓ひて悔いず、爾メルヒセデクの班に循ひて司祭と爲り、世世に迄らんと、)
22 乃イイススは更に善き約の保證者と爲れり。
23 亦彼の司祭等は多く有りき、死は永く存するを許さざりし故なり。
24 然れども彼は世世に存するが故に、易らざる司祭職を有てり。
25 是を以て彼は恒に彼に賴りて神に就く者を救ふを得、其恒に生きて彼等の爲に轉達するを得るに因る。
26 我等の司祭長は實に是くの如き者たるべし、乃聖にして、惡に與らず、垢なく、罪人に遠ざかり、且諸天よりも高き者、
27 彼の司祭長等の如く先づ己の罪、後に民の罪の爲に、日日祭を獻ぐるを要せざる者なり、蓋彼は己を獻げて、一次之を爲せり。
28 蓋律法は荏弱ある人を立てて、司祭長と爲せり、然れども律法の後の誓の言は、世世に完全なる子を立てたり。
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