2023年01月16日 13:36
第九章 (エウレイ書)
1 第一の約には奉事の例と地に屬する聖所とありき。
2 蓋第一の幕は設けられて、其内に燈臺と、案と 、供前の餅とありき、是を聖所と稱す。
3 第二の帷の後に至聖所と稱する幕ありき。
4 茲には金の香爐と、徧く金を蔽ひたる約匱とあり、其内にマンナを藏めたる金の壺、アアロンの萌せる杖、及び約の碑あり、
5 其上に贖罪所を覆へる光榮のヘルワィムありき。此等の事は今詳に言ふを庸ゐず。
6 此等の者斯く備はりて、第一の幕には司祭等恒に入りて、奉事を行ひ、
7 第二の幕には獨司祭長のみ、一年に一次、血を攜へざるなくして入り、之を己の爲及び民の愆の爲に獻ず。
8 此を以て聖神゜は先の幕の尚存する時は、聖所に入る途の未だ啓かれざるを示す。
9 此の幕は今の時の表式を爲す、其中に獻ずる所の禮物と祭祀とは、奉事する者の良心を全うする能はずして、
10 僅に飮食と、種種の洗滌と、肉體に屬する儀式と與に設けられて、改新の時を待てり。
11 然れどもハリストスの、將來の福の司祭長は來りて、更に大に、更に全備なる幕、手の造る所に非ず、卽其造式に非る者に緣りて、
12 牡山羊と牡犢との血を以てするに非ず、乃己の血を以て、一次聖所に入りて、永遠の贖を獲たり。
13 蓋牡山羊と牡犢との血、及び牝犢の灰は、穢れたる者に灑がれて、之を聖にし、肉體の潔淨を致さば、
14 況や聖神゜に由りて、瑕なくして、己を神に獻げしハリストスの血は、我等の良心を死の行より潔めて、活ける眞の神に奉事せしむるをや。
15 故に彼は新なる約の中保者なり、是れ第一の約の時に犯せる諸罪の贖の爲に成りたる彼の死に由りて、永遠の嗣業に召されたる者が、許約せられしことを受けん爲なり。
16 蓋遺命の在る所には、遺命する者の死の之に随はんことを要す。
17 蓋遺命は人の死後に於て固し、遺命する者の尚生ける時には力なし。
18 故に第一の約も血なくしては立てざりき。
19 蓋モイセイは律法に遵ひて悉くの誡を全民の前に宣べし後、犢と牡山羊との血、及び水と、絳氂と、牛膝草とを取りて、其書及び全民に灑ぎて
20 曰へり、此れ神が爾等に戒めし約の血なりと。
21 同じく血を以て幕及び悉くの奉事の器に灑げり。
22 又諸物は幾ど皆律法に循ひて血を以て潔めらる、血を流すに非ざれば、赦なし。
23 故に天の物の像は此等を以て潔めらるべかりき、然れども天の物は此等よりも更に善き祭を以て潔めらるべし。
24 蓋ハリストスは手にて造られたる聖所、眞の聖所を像れる者に入りしに非ず、乃天に入りたり、今我等の爲に神の顔の前に立たん爲なり、
25 又司祭長が年毎に、他の物の血を以て、聖所に入るが若く、屢己を獻ずるが爲に入りしに非ず、
26 若し然らば、彼は創世より以來屢苦を受くべかりしなり、然れども彼は今季の世に、一次己の祭を以て罪を滅さん爲に顯れたり。
27 又人に、一次死して後に審判あることの定められしが如く
28 斯くハリストスも、多くの者の罪を任はん爲に、一次己の祭を獻じて、復罪の爲に非ず、乃彼を待つ者の救の爲に再顯れん。
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