2023年01月16日 15:24
第十章 (エウレイ書)
1 律法は將來の福の影にして、本物の眞の形に非るに因りて、年毎に恒に獻ぜらるる所の同一の祭を以て、之に就く者を永く全うする能はず。
2 否らずば、獻ずることは止まん、蓋奉事する者は一たび潔められて、復一も其良心に罪を覺えざるならん。
3 然れども此の祭に由りて、年毎の罪の事は記念せらるるなり。
4 蓋牡牛と牡山羊との血は罪を除く能はず。
5 故にハリストスは世に入る時曰く、祭祀と禮物とは、爾之を欲せざりき、然れども肉體を我が爲に備へたり。
6 全燔と罪祭とは、爾之を悅ばざりき。
7 其時我言へり、視よ、我往く、書の首に我の事を記せるが如し、神よ、爾の旨を行はんと。
8 前には、祭祀と、禮物と、全燔と、罪祭と、卽律法に循ひて獻ぜらるる者は、爾之を欲せざりき、又悅ばざりきと言ひて、
9 後には、視よ、我往く、神よ、爾の旨を行はんと言へり、第一の者を除く、第二の者を立てん爲なり。
10 此の旨に因りて、我等はイイスス ハリストスの肉體の一次獻ぜらるるを以て聖にせられたり。
11 凡の司祭も日日に立ちて奉事し、屢同一の祭、永く罪を除く能はざる者を獻ず。
12 然れども彼は罪の爲に一の祭を獻じて後、永遠に神の右に坐し、
13 彼の敵が其足の凳に置かるるに至るを俟つ。
14 蓋彼は一の獻祭を以て聖にせらるる者を永遠に全き者と爲せり。
15 聖神゜も亦之を我等に證す、蓋先に言へるが如し、
16 主曰く、厥日の後に我が彼等に立てんとする約は之なり、我は我が律法を彼等の心に置き、之を彼等の念に銘さん、
17 次ぎて主曰く、且我等の罪と不法とを復記念せざらんと。
18 夫れ罪已に赦さるれば、復之が爲に獻祭するを庸ゐず。
19 故に兄弟よ、我等イイスス ハリストスの血に由りて、
20 卽彼が我等の爲に開きたる新なる活ける途を以て、帷なる其肉體に由りて、聖所に入る勇敢を得、
21 且神の家を宰る大なる司祭を得て、
22 誠の心と全き信とを以て、心を惡しき意念より灑がれ、身を清き水に洗はれて、近づくべし。
23 我等の望の承認を固く執りて移らざるべし、蓋許約せし者は信なるなり。
24 我等互に顧みて、愛と善き行とを勵ますべしと。
25 會集を輟むること、或人の習の如くするなく、乃相勸むべし、彼の日の愈近づくを見て、益是くの如くすべし。
26 蓋若し我等眞實を識るを得たる後、縱に罪を犯さば、復贖罪の祭あるなし、
27 乃惕れて審判を待つこと、及び敵を食まんとする烈火あるのみ。
28 若しモイセイの律法に背きし者が、二三人の證者ありて、恤なく死に處せられば、
29 況や神の子を践み、自ら聖にせられし約の血を聖なりとせず、恩寵の神゜を侮る者は、其人の受くべき罰、更に重きこと幾何なりと意ふか。
30 蓋我等は言ひし者を識る、主曰く、讐を復すは我に在り、我報いん。又曰く、主は其民を審判せんと。
31 活ける神の手に陷るは畏るべき哉。
32 爾等の初の日、卽爾等が光照せられて後、患難の多くの戰を忍びし日を憶へ、
33 爾等或は自ら詬誶と迫害とに由りて、人の觀玩とせられ、或は斯る事に遇ふ者に與る者と爲れり。
34 蓋爾等は我の縲絏をも體恤し、爾等の産業の奪はるることをも喜びて受けたり、爾等には更に美にして恒に存する業の天に在るを知ればなり。
35 故に爾等の勇敢を失ふ勿れ、此れ大なる賞を得ん。
36 忍耐は爾等に要する所なり、爾等が神の旨に行ひて、許約せられしことを受けん爲なり。
37 蓋尚片時ありて、來る者臨まん、必遲はらざらん。
38 義人は信に由りて生きん、人若し退かば、我が靈彼を悅ばず。
39 然れども我等は退きて沈淪に屬する者に非ず、乃神に立ちて靈の救を得べき者なり。
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