2023年01月17日 13:09
第5章 (ルカ福音)
1 民が神の言を聽かん爲に、彼に擁し逼りし時、彼ゲンニサレトの湖の濵に立ちて、
2 二の舟の湖に在るを見たり、漁者は舟を離れて網を洗へり。
3 彼はシモンに属する一の舟に登りて、少しく岸より離れんことを請ひ、坐して舟より民を教へたり。
4 語り竟りて、シモンに謂へり、深き處に移り、網を下して、漁せよ。
5 シモン對へて曰へり、夫子よ、我終夜勞して、得る所なかりき、然れども爾の言に依りて、我網を下さん。
6 旣に之を行ひて、魚を囲めること甚多く、網裂くるに至れり。
7 乃他の舟に在る侶を招きて、來り助けしむるに、彼等來りて、魚二の舟に牣ちて、幾ど沈まんとせり。
8 シモン ペトル之を見て、イイススの膝下に伏して曰へり、主よ、我を離れよ、我罪人なればなり。
9 蓋彼及び彼と偕に在りし者は、皆漁りたる魚の爲に甚驚けり、
10 シモンの侶たりしゼワェデイの子イアコフ及びイオアンも亦然り。イイスス シモンに謂へり、懼るる勿れ、今より後爾人を漁らん。
11 彼等舟を岸に曳き、一切を舎てて、彼に從へり。
12 イイスス一の邑に在りし時、全身癩病を患ふる人來り、イイススを見て、俯伏し、彼に求めて曰へり、主よ、爾若し望まば、我潔むるを能す。
13 彼手を伸べて、之に觸れて曰へり、我望む、潔まれ。癩病直に離れたり。
14 イイスス彼に戒めて言ふ、人に告ぐる勿れ、乃往きて、己を司祭に示せ、且爾の潔まりし爲に、モイセイの命ぜし如く獻じて、彼等に證を爲せ。
15 然れども其聲名益播り、衆くの民は教を聽き、又其諸病を醫されん爲に彼に集れり。
16 唯彼は退きて、野に適きて禱れり。
17 一日彼教を宣べしに、ファリセイ等と教法師等と、ガリレヤの諸郷、イウデヤ、及びイエルサリムより來りし者は坐し、主の能は病者を醫すことに於て顯れたり。
18 視よ、人人癱瘋の者を牀に載せて、舁き來り、之を家に入れて、イイススの前に置かんと欲したれども、
19 人の衆きに因りて、舁き入るる所を得ざれば、屋上に升り、瓦の間より、彼を牀のままに縋り下して、中にイイススの前に置けり。
20 イイスス彼等の信を見て、其人に謂へり、人よ、爾の罪は爾に赦さる。
21 學士等及びファリセイ等竊に議して曰へり、此の褻瀆を言ふ者は誰ぞ、獨神より外に、誰が罪を赦すを得ん。
22 イイスス彼等の意を知りて、彼等に答へて曰へり、爾等何ぞ心の中に議する、
23 爾の罪は爾に赦さると言ひ、或は起きて行けと言ふは、孰か易き、
24 然れども爾等が人の子の地に在りて罪を赦す權あることを知らん爲、(癱瘋の者に向ひて曰へり)、爾に謂ふ、起きて、爾の牀を取りて、爾の家に往け。
25 彼直に彼等の前に置き、臥し居たる牀を取り、神を讚榮して、其家に往けり。
26 衆皆駭きて、神を讚榮し、且大に懼れて曰へり、我等今日奇異なることを見たり。
27 斯の後イイスス出でて、稅吏、名はレワィイと曰ふ者の、稅關に坐せるを見て、之に謂へり、我に從へ。
28 彼一切を舎てて、起ちて、彼に從へり。
29 レワィイ其家に於て彼の爲に大なる筵を設けしに、諸稅吏及び他の者は多く彼等と與に席坐せり。
30 學士等とファリセイ等とは怨言して、彼の門徒に謂へり、爾等は何ぞ稅吏及び罪人と與に食飮する。
31 イイスス彼に答へて曰へり、康强なる者は醫師を需めず、乃病を負ふ者は之を需む。
32 我が來りしは、義人を召す爲に非ず、乃罪人を召して悔改せしめん爲なり。
33 彼等イイススに謂へり、イオアンの門徒は屡齋して祈禱を爲す、ファリセイ等の門徒も亦然り、惟爾の門徒が食飮するは何ぞや。
34 彼は之に謂へり、爾等は婚筵の客に新娶者の尚彼等と偕に在る時、豈齋せしむるを得んや。
35 然れども新娶者の彼等より取らるる日至らん、其日には齋せん。
36 又譬を設けて彼等に謂へり、新しき衣の布を取りて、舊き衣を補ふ者あらず、然らずば新しき衣をも裂き、且新しき者より取りたる布は舊き者と合はざらん。
37 又新しき酒を舊き革嚢に盛る者あらず、然らずば新しき酒は嚢を敗りて、酒漏れ、嚢も亡びん。
38 乃新しき酒は新しき嚢に盛るべし、然らば兩の者存せん。
39 又舊き酒を飮みて、直に新しきを欲する者あらず、蓋曰ふ、舊きは更に善し。
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