2023年01月20日 13:26
第13章 (ルカ福音)
1 其時數人來りて、ピラトが其血を其祭物に雑へしガリレヤ人の事をイイススに告げたり。
2 彼は之に答へて曰へり、爾等此のガリレヤ人は斯く苦を受けし故に、悉くのガリレヤ人より多く罪ありしと意ふか。
3 我爾等に語ぐ、然らず、乃爾等若し悔改せずば、皆是くの如く亡びん。
4 或は彼のシロアムの塔倒れて殺されし十八人は、悉くのイエルサリムに居る者より多く罪を負ひたりと意ふか。
5 我爾等に語ぐ、然らず、乃爾等悔改せずば、皆同じく亡びん。
6 又譬を設けて曰へり、或人、其葡萄園に植ゑたる無花果樹ありしに、來りて、之に果を求むれども、得ざりき。
7 遂に園丁に謂へり、視よ、我三年來りて、此の無花果樹に果を求むれども、得ず、之を斫れ、何ぞ徒に地を塞ぐ。
8 園丁彼に對へて曰く、主よ、今年も之を容して、我が其周囲を掘りて、肥料を置くを待て、
9 或は果を結ばん、否ずば、後に之を斫らん。
10 安息日に彼一の會堂に在りて教を宣べたり。
11 爰に十八年病の鬼を患ふる婦あり、傴みて、少しも伸ぶる能はざりき。
12 イイスス之を見て、呼びて之に謂へり、婦よ、爾は其病より釋かれたり。
13 乃手を彼に按せたれば、彼直に伸びて、神を讚榮せり。
14 會堂の宰、イイススが安息日に醫を施ししを愠りて、民に謂へり、工作を爲すべき日は六日あり、其中に來りて醫されよ、安息の日に於てせざれ。
15 主彼に答へて曰へり、僞善者よ、爾等各安息日に於て其牛或は驢を槽より解き、之を曳きて飮はざるか、
16 況やアウラアムの女なる此の婦十八年サタナに縛られたる者の結を、安息の日に於て解くべからざりしか。
17 彼が之を言ふ時、彼に敵する者は皆愧ぢ、衆民は彼が凡の光明なる行事を喜べり。
18 彼曰へり、神の國は何に似たるか、我之を何に譬へん。
19 是れ芥種、人取りて其園に播きたる者の如し、乃長じて大なる樹となり、天空の鳥其枝に棲めり。
20 又曰へり、神の國を何に譬へん。
21 是れ酵の如し、婦之を取りて、三斗の麪の中に納れしに、悉く發酵するに至れり。
22 イイスス諸の邑及び村を經て、教を宣べ、イエルサリムに向ひて行けり。
23 或彼に謂へり、主よ、救はるる者寡きか。
24 イイスス彼等に謂へり、力を竭くして窄き門より入れ、蓋我爾等に語ぐ、多くの者は入るを求めて得ざらん。
25 家主起きて門を閉ぢて後、爾等外に立ちて、門を叩きて曰はん、主よ、主よ、我等の爲に啓け、彼爾等に答へて曰はん、我爾が奚れよりするを識らず。
26 其時爾等曰はん、我爾の前に食飮し、爾亦我等の衢に教へたり。
27 然れども彼曰はん、我爾等に語ぐ、我爾等が奚れよりするを識らず、凡そ不義を行ふ者は我より離れよと。
28 時に爾等アウラアム、イサアク、イアコフ及び諸預言者が神の國に在り、己が外に逐はるるを見て、彼處に哭き切齒せん。
29 東より、西より、北より、南より、人來りて、神の國に席坐せん。
30 視よ、後なる者の先となり、先なる者の後となることあらん。
31 當日或ファリセイ等就きて、彼に謂へり、出でて此を離れよ、蓋イロド爾を殺さんと欲す。
32 彼は之に謂へり、往きて、彼の狐に告げよ、視よ、我今日及び明日魔鬼を逐ひ出し、醫を施し、第三日に終らん。
33 然れども今日明日及び次の日に我行くべし、蓋諸預言者のイエルサリムの外に亡ぶるは有らざるなり。
34 イエルサリムよ、イエルサリムよ、預言者を殺し、爾に遣されし者を石にて擊つ者よ、我幾次か、母鶏が其雛を翼の下に集むる如く、爾の諸子を集めんことを欲したれども、爾等は欲せざりき。
35 視よ、爾等の家は虛しくして爾等に遺さる、我爾等に語ぐ、今より後、主の名に因りて來る者は祝福せらると云ふ時に至るまで爾等我を見ざらん。
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