2023年01月20日 13:27
第14章 (ルカ福音)
1 イイスス安息日の一の宰なるファリセイの家に入りて、餅を食ふことありしに、人人彼を窺へり。
2 爰に水腫病を疾める人の彼の前に立てるあり。
3 イイスス律法師及びファリセイ等に問ひて曰へり、安息日に醫を施すは宜しきか。
4 彼等默然たり。彼は其人に觸れて、之を醫して、去らしめたり。
5 又彼等に謂へり、爾等の中誰か驢或は牛の井に陷ることあらんに、安息の日にも直に之を曳き出さざらんか。
6 彼等之に對ふる能はざりき。
7 招かれたる者の首座を擇べるを見て、譬を設けて彼等に謂へり、
8 爾人より婚筵に招かれん時、首座に坐する勿れ、恐らくは爾より尊き者の招かるるありて、
9 爾と彼とを招きし者來りて、爾に謂はん、斯の人に座を譲れと、其時爾等羞ぢて、末座に就かん。
10 乃招かれん時、往きて末座に坐せよ、爾を招きし者來らん時、爾に、友よ、上座に進めと言はん爲なり、其時爾同席者の前に於て榮あらん。
11 蓋凡そ自ら高くする者は卑くせられ、自ら卑くする者は高くせられん。
12 又彼を招きし者に謂へり、爾午餐或は晩餐を設くる時、爾の朋友をも、兄弟をも、親戚をも、富める隣をも、招く勿れ、恐らくは彼等も亦爾を招きて、爾報を受けん。
13 乃筵を設くる時貧乏、廢疾、跛者、瞽者を招け、
14 然らば彼等が爾に報ゆる能はざるに因りて、爾福なり、義者の復活の時に爾報を得んとすればなり。
15 彼と偕に席坐せる一人、此を聞きて、彼に謂へり、神の國に於て餅を食はん者は福なり。
16 彼は之に謂へり、或人大なる晩餐を設けて、多くの者を招きたり。
17 晩餐の時に及び、其僕を遣して、招かれたる者に謂へり、來れ、蓋一切已に備はれり。
18 彼等皆同じく辞したり。第一の者曰へり、我田地を買ひたり、往きて之を見んことを要す、請ふ、我が辞するを允せ。
19 他の者曰へり我牛五耦を買ひたり、是を試みん爲に往く、請ふ、我が辞するを允せ。
20 又他の者曰へり、我妻を娶りたり、是の故に來る能はず。
21 其僕歸りて、之を主に告げたれば、家主怒りて、其僕に謂へり、速に邑の衢と巷とに出でて、貧乏、廢疾、跛者、瞽者を此に引き來れ。
22 僕曰へり、主よ、爾の命ぜし如く行ひたれども、尚餘れる座あり。
23 主は僕に謂へり、道路及び藩籬の間に出でて、入らんことを説得して、我が家に盈たしめよ。
24 蓋我爾等に語ぐ、彼の招かれたる人は、一も我が晩餐を嘗めざらん。蓋召されたる者は多けれども、選ばれたる者は少し。
25 衆くの民彼と偕に行けるに、彼は顧みて、之に謂へり、
26 人若し我に來りて、其父母、妻子、兄弟、姉妹又己の生命をも憎まずば、我が門徒と爲るを得ず。
27 己の十字架を任ひて、我に從はざる者も、亦我が門徒と爲るを得ず。
28 蓋爾等の中孰か塔を建てんと欲して、先づ坐して、其資金の之を成すに足れるかを計らざらん。
29 恐らくは其基を置きて、終ふること能はずば、見る者皆彼を哂ひて曰はん。
30 此の人建て始めて、終ふること能はざりきと。
31 或は何れの王か出でて、他の王と戰はんに、先坐して、一萬を以て夫の二萬を率ゐて來り攻むる者に敵するを得るかを籌らざらん。
32 然らずば、敵の尚遠く在る時彼使を遣して、和を請はん。
33 是くの如く爾等の中、凡そ其有てる所を捨てざる者は、我が門徒と爲るを得ず。
34 塩は善き物なり、然れども塩若し其味を失はば、何を以て之を鹹くせん、
35 地にも肥料にも宜しからず、惟之を外に棄つ。耳ありて聽くを得る者は聽くべし。
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