2023年01月20日 13:30
第17章 (ルカ福音)
1 イイスス又其門徒に謂へり、誘惑は來らざるを得ず、惟之を來す者は禍なる哉。
2 人此の小子の一人を罪に誘はんよりは、寧磨石を其頚に懸けられて、海に投ぜられん。
3 己を愼め、若し爾の兄弟爾に罪を獲ば、彼を戒めよ、若し悔いば、彼に免せ。
4 若し一日に七次爾に罪を獲、亦一日に七次自ら省みて、我悔ゆと曰はば、彼に免せ。
5 使徒等主に謂へり、我等に信を益せ。
6 主曰へり、若し爾等に芥種の如き信あらば、此の桑に、抜けて海に植われと言ふとも、爾等に聽かん。
7 孰か爾等の中に耕へし、或は畜を牧ふ僕あらんに、其田より歸りて後、之に直に來りて席坐せよと云ふ者あらんや、
8 豈彼に曰はずや、我が晩餐を備へ、我の食飮する間、帶を束ねて我に事へ、後爾食飮せよと。
9 彼は其僕が命ぜられしことを行ひし爲に、之に謝せんか、我之を意はず。
10 是くの如く爾等も、凡そ爾等に命ぜられし事を行ひし時には謂へ、我等は無益の僕なり、行ふべき事を行ひしのみと。
11 彼イエルサリムに往くに、サマリヤとガリレヤとの間を經たり。
12 或村に入る時、癩病者十人彼を迎へ、遠く立ちて、聲を揚げて曰へり、
13 イイスス夫子よ、我等を憐め。
14 イイスス彼等を視て、曰へり、往きて、己を司祭等に示せ。彼等往く時潔まれり。
15 其中一人、己の愈されしを見て、返りて、大聲を以て神を讚榮し、
16 イイススの足下に俯伏して感謝せり、彼はサマリヤの人なり。
17 イイスス曰へり、潔まりし者は十人に非ずや、其九は何處に在るか、
18 此の異族人の外、如何ぞ返りて、光榮を神に歸せざる。
19 又彼に謂へり、起ちて往け、爾の信は爾を救へり。
20 ファリセイ等に、神の國は何の時に來ると問はれて、彼等に答へて曰へり、神の國は顯に來らず、
21 人人、視よ、此處に在り、或は視よ、彼處に在りと、曰はざらん。蓋視よ、神の國は爾等の衷に在り。
22 又門徒に謂へり、爾等人の子の一日を見んと欲す時至らん、而して之を見ざらん。
23 人人爾等に、視よ、此處に在り、或は視よ、彼處に在りと謂はん、往く勿れ、從ふ勿れ。
24 蓋電が天の此の涯より閃きて、天の彼の涯にまで光るが如く、人の子も其日に是くの如くならん。
25 然れども彼は先づ多く苦を受けて、此の世に棄てらる可し。
26 ノイの日に在りし如く、人の子の日にも是くの如くならん。
27 人人食ひ飮み、娶り嫁ぎて、ノイの方舟に入る日に至り、洪水來りて、盡く彼等を滅せり。
28 同じく又ロトの日に在りし如し人人食ひ飮み、買ひ賣り、樹ゑ、構造せり、
29 然れどもロトがソドムより出でし日、天より火と硫黄と雨りて、盡く彼等を滅せり。
30 人の子の顯るる日にも亦是くの如くならん。
31 當日屋の上に在らん者は、其器家に在らば、之を取らん爲に下る可からず、田に在らん者も、同じく後へ歸る可からず。
32 ロトの妻を記憶せよ。
33 己の生命を救はんと求むる者は、之を喪はん、之を喪ふ者は、之を存せん。
34 我爾等に語ぐ、其夜二人榻を同じくせんに、一人は取られ、一人は遺されん。
35 二人の婦共に磨を旋かんに、一人は取られ、一人は遺されん。
36 二人田に在らんに、一人は取られ、一人は遺されん。
37 彼等問ひて曰く、主よ、何處にか之れ有る。彼は之に謂へり、屍の在る所には、鷲集らん。
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