2023年01月20日 13:31
第18章 (ルカ福音)
1 イイスス又譬を設けて、彼等に恒に祈禱して倦むべからざることを言へり、
2 曰く、或邑に裁判官あり、神を畏れず、人に耻ぢず。
3 其邑に一の嫠あり、彼に來りて曰へり、我を我が仇より援けよ。
4 彼久しく肯はざりしが、其後自ら思ひて曰へり、我神を畏れず、人に耻ぢずと雖、
5 此の嫠我を煩はすに因りて、我之を援けん、其恒に來りて、我に聒しくせざらん爲なり。
6 主曰へり、不義なる裁判官の言ふ所を聽け。
7 神は昼夜彼に呼ぶ所の其選びたる者を、久しく忍ぶとも、遂に援けざらんや。
8 我爾等に語ぐ、速に彼等に援けん。然れども人の子來りて、信を地に見んや。
9 又己を義なりと信じて、他人を藐る者に、此の譬を語れり。
10 二人祈禱せん爲に殿に登れり、一はファリセイ、一は稅吏なり。
11 ファリセイ立ちて、己の衷に斯く禱れり、神よ、我爾に感謝す我他人の殘酷、不義、姦淫なる如く、或は此の稅吏の如くならざるを以てなり。
12 我一七日に、二次齋し、凡そ得る所の十分の一を獻ぐと。
13 稅吏は遠く立ちて、敢て目を擧げて天を仰がず、乃膺を拊ちて曰へり、神よ、我罪人を憐めと。
14 我爾等に語ぐ、此の人は彼の人よりは義とせられて、家に歸れり。蓋凡そ自ら高くする者は卑くせられ、自ら卑くする者は高くせられん。
15 嬰兒を彼に攜へ來れるあり、彼等に觸れん爲なり、門徒見て、之を戒めたり。
16 然れどもイイスス彼等を呼びて曰へり、幼兒の我に就くを容せ、之に禁ずる勿れ、蓋神の國は是くの如き者に属す。
17 我誠に爾等に語ぐ、幼兒の如くに神の國を承けざる者は、之に入るを得ず。
18 或宰彼に問ひて曰へり、善なる師よ、我永遠の生命を嗣がん爲に何を爲すべきか。
19 イイスス彼に謂へり、爾は何ぞ我を善と稱ふる、獨神より外に善なる者なし。
20 爾は誡を識れり、淫する毋れ、殺す毋れ、竊む毋れ、妄證する毋れ、爾の父母を敬へ。
21 彼曰へり、我幼きより皆之を守れり。
22 イイスス之を聞きて、彼に謂へり、爾に猶一の足らざる事あり、悉く爾の所有を售りて、貧者に施せ、然らば財を天に有たん、且來りて我に從へ。
23 彼之を聞きて、甚憂ひたり、巨に富める故なり。
24 イイスス其甚憂ひたるを見て曰へり、富を有つ者の神の國に入るは難き哉。
25 蓋駱駝が針の孔を穿るは、富める者が神の國に入るより易し。
26 之を聞きし者曰へり、然らば誰か能く救はれん。
27 彼曰へり、人には能せざる所、神には能すなり。
28 ペトル曰へり、視よ、我等一切を舎てて、爾に從へり。
29 イイスス彼等に謂へり、我誠に爾等に語ぐ、神の國の爲に家、或は父母、或は兄弟、或は姉妹、或は妻、或は子を舎て、
30 而して斯の時に多倍を受け、未來の世に永遠の生命を受けざる者あらず。
31 十二門徒を招きて、彼等に謂へり、視よ、我等イエルサリムに上る、而して預言者に因りて人の子を指して錄されし事皆成らん。
32 蓋彼は異邦人に付され、嘲られ、辱められ、唾せられん。
33 人彼を鞭ち、彼を殺さん、而して第三日に彼復活せん。
34 然れども彼等少しも之を暁らざりき、斯の言は彼等の爲に隱れて、彼等謂はれし事を知らざりき。
35 彼がイエリホンに近づける時、或瞽者道の旁に坐して乞へり。
36 民の過ぐるを聞きて、是れ何事ぞと問へば、
37 人人彼にイイスス ナゾレイの過ぐるなりと告げたり。
38 彼呼びて曰へり、ダワィドの子イイススよ、我を憐め。
39 前に行く者彼を禁めて默さしむれども、彼愈大に呼べり、ダワィドの子よ、我を憐め。
40 イイスス止りて、彼を攜へ來るを命じ、其近づきし時、之に問ひて
41 曰へり、我が爾に何を爲さんことを欲するか。彼曰へり、主よ、我が見るを得んことを。 42 イイスス彼に謂へり、見るを得よ、爾の信は爾を救へり。 43 彼直に見るを得、神を讚榮して、イイススに從へり。衆民是を見て、讚美を神に歸せり。
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41 曰へり、我が爾に何を爲さんことを欲するか。彼曰へり、主よ、我が見るを得んことを。 42 イイスス彼に謂へり、見るを得よ、爾の信は爾を救へり。 43 彼直に見るを得、神を讚榮して、イイススに從へり。衆民是を見て、讚美を神に歸せり。