2023年01月20日 13:33
第20章 (ルカ福音)
1 當時の一日、イイスス殿に在りて民を教へ、福音を宣ぶるに司祭諸長及び學士等は長老等と共に就きて、彼に謂へり、
2 我等に語げよ、爾何の權を以て是を行ふか、或は誰か爾に此の權を與へたる。
3 彼は之に答へて曰へり、我も亦一言爾等に問はん、我に語げよ、
4 イオアンの洗禮は天よりせしか、抑人よりせしか。
5 彼等竊に議して曰へり、若し天よりと云はば爾何ぞ彼を信ぜざりしと云はん、
6 若し人よりと云はば、民皆石を以て我等を擊たん、イオアンを預言者と信ずればなり。
7 遂に答へて曰へり、奚れよりせしを知らず。
8 イイスス彼等に謂へり、我も何の權を以て是を行ふを爾に語げざらん。
9 是に於て彼は此の譬を民に語れり、或人葡萄園を植ゑ、之を園丁に託して、他方に往きて久しく居たり。
10 期に及びて、彼は僕を園丁に遣して、彼に葡萄の實を與へしめんとせしに、園丁之をうちて、空しく返らしめたり。
11 復他の僕を遣ししに、彼等之をもうち、辱めて、空しく返らしめたり。
12 又第三の者を遣ししに、之をも傷つけて、逐ひ出せり。
13 其時葡萄園の主曰へり、我何を爲さんか、我が至愛の子を遣さん、或は彼を見て愧ぢんと。
14 然れども園丁彼を見て、相議して曰へり、此れ嗣子なり、往きて彼を殺さん、其嗣業の我等の有とならん爲なり。
15 乃彼を葡萄園の外に曳き出して殺せり。然らば葡萄園の主は彼等に何を爲さんか。
16 彼來りて、其園丁を滅し、葡萄園を他の者に託せん。之を聞きし者曰へり、願はくは此れ有らざらん。
17 然るにイイスス彼等に目を注ぎて曰へり、錄して、工師が棄てたる石は屋隅の首石と爲れりと、云ふは何ぞや。
18 凡そ此の石の上に倒るる者は壞られ、此の石の其上に墜つる者は砕かれん。
19 斯の時司祭諸長と學士等とは彼に手を措かんと謀りたれども、民を懼れたり、其彼等を指して、此の譬を語りしを覺りたればなり。
20 乃彼を窺ひて、義者の爲をなせる間者を遣して、言に因りて彼を羅せんと欲せり、彼を有司に、及び方伯の權威に解さん爲なり。
21 彼等問ひて曰へり、師よ、我等は爾が正しく言ひ且教へ、貌を以て人を取らず、乃眞に神の道を教ふるを知る。
22 我等稅をケサリに納むるは宜しや否や。
23 イイスス彼等の惡意を知りて曰へり、何ぞ我を試みる、
24 銀一枚を我に示せ、斯に誰の像と號あるか。答へて曰へり、ケサリの。
25 彼は之に謂へり、然らばケサリの物をケサリに納め、神の物を神に納めよ。
26 彼等民の前に其言を執ふるを得ず、其答を奇として默然たり。
27 又復活なしと言ふサッドゥケイ等の數人彼に就きて、問ひて
28 曰く、師よ、モイセイ我等の爲に書して云へり、若し人の兄弟妻あり、子なくして死せば、兄弟其妻を娶りて、其兄弟の嗣を興すべしと。 29 兄弟七人ありしが、第一の者妻を娶り、子なくし死せり。 30 第二の者此の妻を娶り、亦子なくして死せり。 31 第三の者も之を娶り、其七に至るまで皆然り、共に子を遺さずして死せり。 32 其後妻も亦死せり。 33 然らば復活の時、彼は其中誰の妻と爲らんか、蓋七人之を妻と爲せり。 34 イイスス彼等に答へて曰へり、斯の世の諸子は娶るあり、嫁ぐあり、 35 然れども彼の世、及び死より復活を得るに當れる者は娶るなく、嫁ぐなし、 36 蓋已に死すること能はず、彼等は天使等と侔しく、且復活の子としては神の子なればなり。 37 死者の復活することに付きては、モイセイも棘の篇に於て、主をアウラアムの神、イサアクの神、イアコフの神と稱ふるを以て之を顯せり。 38 神は死者の神に非ず、乃生者の神なり、蓋彼に在りては皆生くるなり。 39 或學士等答へて曰へり、師よ、爾の言ひし所善し。 40 是より敢て復彼に問ふ所なかりき。 41 イイスス彼等に謂へり、人如何ぞハリストスをダワィドの子なりと云ふ。 42 ダワィド自ら聖詠の書に云ふ、主我が主に謂へり、爾我が右に坐して、 43 我が爾の敵を爾の足の凳と爲すに迄れと。 44 斯くダワィドは彼を主と稱ふ、如何ぞ彼は其子たる。 45 民皆聽く時、彼其門徒に謂へり、 46 謹みて學士等を防げ、彼等は長き衣にて遊ぶを好み、街衢には問安、會堂には首座、筵には上席を喜ぶ、 47 彼等は嫠の家を呑み、佯りて長き祈を爲す、彼等尤重き定罪を受けん。
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28 曰く、師よ、モイセイ我等の爲に書して云へり、若し人の兄弟妻あり、子なくして死せば、兄弟其妻を娶りて、其兄弟の嗣を興すべしと。 29 兄弟七人ありしが、第一の者妻を娶り、子なくし死せり。 30 第二の者此の妻を娶り、亦子なくして死せり。 31 第三の者も之を娶り、其七に至るまで皆然り、共に子を遺さずして死せり。 32 其後妻も亦死せり。 33 然らば復活の時、彼は其中誰の妻と爲らんか、蓋七人之を妻と爲せり。 34 イイスス彼等に答へて曰へり、斯の世の諸子は娶るあり、嫁ぐあり、 35 然れども彼の世、及び死より復活を得るに當れる者は娶るなく、嫁ぐなし、 36 蓋已に死すること能はず、彼等は天使等と侔しく、且復活の子としては神の子なればなり。 37 死者の復活することに付きては、モイセイも棘の篇に於て、主をアウラアムの神、イサアクの神、イアコフの神と稱ふるを以て之を顯せり。 38 神は死者の神に非ず、乃生者の神なり、蓋彼に在りては皆生くるなり。 39 或學士等答へて曰へり、師よ、爾の言ひし所善し。 40 是より敢て復彼に問ふ所なかりき。 41 イイスス彼等に謂へり、人如何ぞハリストスをダワィドの子なりと云ふ。 42 ダワィド自ら聖詠の書に云ふ、主我が主に謂へり、爾我が右に坐して、 43 我が爾の敵を爾の足の凳と爲すに迄れと。 44 斯くダワィドは彼を主と稱ふ、如何ぞ彼は其子たる。 45 民皆聽く時、彼其門徒に謂へり、 46 謹みて學士等を防げ、彼等は長き衣にて遊ぶを好み、街衢には問安、會堂には首座、筵には上席を喜ぶ、 47 彼等は嫠の家を呑み、佯りて長き祈を爲す、彼等尤重き定罪を受けん。