2023年01月20日 13:34
第21章 (ルカ福音)
1 イイスス目を擧げて、富める人人は其獻金を獻賽函に投ずるを見、
2 又一人の貧しき嫠の二レプタを投ずるを見て
3 曰へり、我誠に爾等に語ぐ、此の貧しき嫠は衆人より多く投じたり、 4 蓋彼等は皆其羨餘より獻金を神に投じ、彼は其乏しき所より、其有てる生計を盡く投じたり。 5 或が殿の事、其美しき石と奉納品とを以て飾りたる事を語れる時、彼曰へり、 6 日來らん、此の爾等が見る者の中、一の石も石の上に遺らずして、皆圯されん。 7 彼等問ひて曰へり、師よ、何の時に此の事有らんか、又此等の成らんとする時は、如何なる兆あるか。 8 彼曰へり、愼みて惑はさるる勿れ、蓋多くの者は我が名を冒して來たり、是れ我なりと云はん、時は邇づけり、彼等の後に從ふ勿れ。 9 爾等戰と乱とを聞かん時、懼るる勿れ、蓋此等の事は先づ有るべし、然れども末期は未だ速ならず。 10 其時彼等に謂へり、民は民を攻め、國は國を攻めん、 11 處々に大なる地震、飢饉、疫病あり、畏るべき現象、及び大なる休徴天よりするあらん。 12 凡そ此等の事の先に、人人其手を爾等に措き、爾等を窘逐して、會堂及び獄に解し、我が名の爲に爾等を諸王諸侯の前に曳かん。 13 爾等が此の事に遇ふは證を爲さん爲なり。 14 故に爾等の心を定めて、何を對へんと豫め慮る勿れ。 15 蓋我等に口と智慧とを與へて、凡そ爾等の仇をして辯駁敵對する能はざらしめん。 16 爾等又父母兄弟、親戚、朋友より解され、且爾等の中或者は殺されん。 17 爾等我が名の爲に衆人に憎まれん。 18 然れども爾等の首の髪の一も喪びざらん。 19 忍耐を以て爾等の靈を救へ。 20 爾等イエルサリムが軍に囲まれたるを見る時は、其亡の近づきしを知れ。 21 其時イウデヤに在る者は山に遁るべし、城の中に在る者は此より出づべし、郷にある者は其中に入るべからず。 22 蓋此れ復讐の日なり、凡そ錄されし事は應はん爲なり。 23 當日には妊める者と乳を哺まする者は禍なる哉、蓋大なる菑は地に在りて、怒は斯の民に及ばん。 24 彼等は劔の刃に斃れ、又諸民の中に虜にせられん、イエルサリムは異邦民に蹂られて、異邦民の時の滿つるに迄らん。 25 日月星辰には異象あり、地には諸民の煩悶と顛沛とあらん、海は轟きて濤たたん。 26 人人畏懼に依り、又全地に來らんとする禍を俟つに依りて、気の絶ゆるあらん、蓋天勢は震ひ動かん。 27 其時人の子が權能と大なる光榮とを以て、雲に乗りて來るを見ん。 28 此等の事の成り始むる時、起きて爾等の首を翹げよ、蓋爾等の贖は近づけり。 29 又譬を設けて彼等に謂へり、無花果樹及び凡の樹を觀よ。 30 已に萌す時は、爾等之を見て、自ら夏の近きを知る。 31 是くの如く爾等亦此等の事の成るを見ん時は、神の國の近きを知れ。 32 我誠に爾等に語ぐ、此の世未だ逝かずして、此れ皆成るを得ん。 33 天地は廢せん、然れども我が言は廢せざらん。 34 自ら愼め、恐らくは爾等の心は饕餮、沈湎、及び度生の慮に鈍くせられて、彼の日突然爾等に至らん。 35 蓋斯の日は網の如く、一切全地の面に住む者に臨まん。 36 故に恒に儆醒して祈れ、此等來らんとする事を悉く遁れて、人の子の前に立つに堪へん爲なり。 37 イイスス昼は殿に在りて教を宣べ、夜は出でて、橄欖山と名づくる山に宿れり。民皆朝早く殿に來り、彼に就きて聽けり。
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3 曰へり、我誠に爾等に語ぐ、此の貧しき嫠は衆人より多く投じたり、 4 蓋彼等は皆其羨餘より獻金を神に投じ、彼は其乏しき所より、其有てる生計を盡く投じたり。 5 或が殿の事、其美しき石と奉納品とを以て飾りたる事を語れる時、彼曰へり、 6 日來らん、此の爾等が見る者の中、一の石も石の上に遺らずして、皆圯されん。 7 彼等問ひて曰へり、師よ、何の時に此の事有らんか、又此等の成らんとする時は、如何なる兆あるか。 8 彼曰へり、愼みて惑はさるる勿れ、蓋多くの者は我が名を冒して來たり、是れ我なりと云はん、時は邇づけり、彼等の後に從ふ勿れ。 9 爾等戰と乱とを聞かん時、懼るる勿れ、蓋此等の事は先づ有るべし、然れども末期は未だ速ならず。 10 其時彼等に謂へり、民は民を攻め、國は國を攻めん、 11 處々に大なる地震、飢饉、疫病あり、畏るべき現象、及び大なる休徴天よりするあらん。 12 凡そ此等の事の先に、人人其手を爾等に措き、爾等を窘逐して、會堂及び獄に解し、我が名の爲に爾等を諸王諸侯の前に曳かん。 13 爾等が此の事に遇ふは證を爲さん爲なり。 14 故に爾等の心を定めて、何を對へんと豫め慮る勿れ。 15 蓋我等に口と智慧とを與へて、凡そ爾等の仇をして辯駁敵對する能はざらしめん。 16 爾等又父母兄弟、親戚、朋友より解され、且爾等の中或者は殺されん。 17 爾等我が名の爲に衆人に憎まれん。 18 然れども爾等の首の髪の一も喪びざらん。 19 忍耐を以て爾等の靈を救へ。 20 爾等イエルサリムが軍に囲まれたるを見る時は、其亡の近づきしを知れ。 21 其時イウデヤに在る者は山に遁るべし、城の中に在る者は此より出づべし、郷にある者は其中に入るべからず。 22 蓋此れ復讐の日なり、凡そ錄されし事は應はん爲なり。 23 當日には妊める者と乳を哺まする者は禍なる哉、蓋大なる菑は地に在りて、怒は斯の民に及ばん。 24 彼等は劔の刃に斃れ、又諸民の中に虜にせられん、イエルサリムは異邦民に蹂られて、異邦民の時の滿つるに迄らん。 25 日月星辰には異象あり、地には諸民の煩悶と顛沛とあらん、海は轟きて濤たたん。 26 人人畏懼に依り、又全地に來らんとする禍を俟つに依りて、気の絶ゆるあらん、蓋天勢は震ひ動かん。 27 其時人の子が權能と大なる光榮とを以て、雲に乗りて來るを見ん。 28 此等の事の成り始むる時、起きて爾等の首を翹げよ、蓋爾等の贖は近づけり。 29 又譬を設けて彼等に謂へり、無花果樹及び凡の樹を觀よ。 30 已に萌す時は、爾等之を見て、自ら夏の近きを知る。 31 是くの如く爾等亦此等の事の成るを見ん時は、神の國の近きを知れ。 32 我誠に爾等に語ぐ、此の世未だ逝かずして、此れ皆成るを得ん。 33 天地は廢せん、然れども我が言は廢せざらん。 34 自ら愼め、恐らくは爾等の心は饕餮、沈湎、及び度生の慮に鈍くせられて、彼の日突然爾等に至らん。 35 蓋斯の日は網の如く、一切全地の面に住む者に臨まん。 36 故に恒に儆醒して祈れ、此等來らんとする事を悉く遁れて、人の子の前に立つに堪へん爲なり。 37 イイスス昼は殿に在りて教を宣べ、夜は出でて、橄欖山と名づくる山に宿れり。民皆朝早く殿に來り、彼に就きて聽けり。