2023年01月20日 13:37
第24章 (ルカ福音)
1 七日の首の日、朝甚早く、彼等は備へたる香料を攜へて、墓に來り、他の婦も彼等と偕にせり。
2 石の墓より移されたるを見、
3 入りて、主イイススの屍を見ざりき。
4 之が爲に惑へる時、觀よ、輝ける衣を衣たる二人彼等の前に立てり。
5 彼等懼れて、面を地に伏せたれば、二人之に謂へり、何ぞ生ける者を死者の中に尋ぬる。
6 彼は此に在らず、乃復活せり、彼が尚ガリレヤに在りし時、如何に爾等に語げて、
7 人の子が罪人の手に付され、十字架に釘せられ、第三日に復活すべき事を謂ひしを憶へ。
8 彼等其言を憶ひ起し、
9 墓より歸りて、悉く此を十一門徒及び其餘の者に告げたり。
10 使徒に此を告げたる者は、マグダリナマリヤ、イオアンナ、イアコフの母マリヤ、及び其他彼等と偕に在りし者なり。
11 使徒は彼等の言を空言と爲して、之を信ぜざりき。
12 然れどもペトル起ちて、墓に趨り往き、俯して、惟裏布の置けるを見、其成りし事を心に異みて歸れり。
13 是の日其中に二人、イエルサリムを去ること約六十小里なるエムマウスと名づくる村に往きしが、
14 互に凡そ彼等の有りし事を語れり。
15 語り且論ずる時、イイスス親ら近づきて、彼等と偕に行けり。
16 然れども二人の目は抳められて、彼を識らざるを致せり。
17 彼曰へり、爾等は行きて何事をか互に論じ、又何ぞ憂ふる色ある。
18 其一人、クレヲパと名づくる者、彼に對へて曰へり、イエルサリムに來りし者の中、爾獨近日其中に成りし事を知らざるか。
19 問ひて曰へり、何の事ぞ。彼等曰へり、イイスス ナゾレイ、卽神及び衆民の前に行と言とに能力ある預言者たりし者に在りし事、
20 如何に我等の司祭諸長及び有司等が彼を解して、死に定め、十字架に釘せし事なり。
21 我等嘗て此の人はイズライリを贖ふ者なりと望めり、然れども此れ皆成りしより今已に第三日なり。
22 然るに又我等の中の或婦等は我等を驚かせり、彼等朝早く墓に在りしが、
23 其屍を見ずして、來りて、天使等の現れて、彼は生くと言ふを見しことを語げたり。
24 我等の中の數人は墓に適きしに、果して、婦の言ひし如き事を見たり、惟彼を見ざりき。
25 イイスス彼等に謂へり、噫無知にして、凡そ諸預言者の言ひし事を信ずるに心の遅き者よ、
26 ハリストスは此くの如く苦を受けて、其光榮に入るべかりしに非ずや。
27 是に於てモイセイより始めて、諸預言者に及ぶまで、凡そ聖書に彼を指して載することを彼等に説き明せり。
28 往く所の村に近づきしに、彼は尚遠くに行かんとする者の若し。
29 二人彼を留めて曰へり、我等と偕に止れ、蓋時暮れんとし、日已に昃けり。彼入りて、偕に止れり。
30 席坐せる時、彼餅を取りて、祝福し、擘きて彼等に與へたり。
31 其時二人目啓けて、彼を識れり、而して彼忽に見えずなりき。
32 彼等互に言へり、途中彼が我等と語り、且我等に聖書を解き明しし時、我等の心我が衷に燃えしに非ずや。
33 卽時に起ちて、イエルサリムに歸り、十一門徒及び之と偕に聚れる者に遇へり。
34 僉言ふ、主は實に復活せり、而してシモンに現れたり。
35 二人も亦途中に在りし事、及び如何に其餅を擘く時彼等に識られし事を述べたり。
36 此等の事を語れる時、イイスス親ら彼等の中に立ちて曰へり、爾等に平安。
37 彼等驚き且懼れて、見る所は神゜なりと意へり。
38 イイスス彼等に謂へり、何ぞ懼れ惑ふ、胡爲れぞ此の意は爾等の心に起れる。
39 我が手我が足を視よ、是我自なり、我に捫りて視よ、蓋神゜には骨肉なし、其我に有るを見るが如し。
40 此を言ひて、手足を彼等に示せり。
41 彼等喜に因りて、猶未だ信ぜず、且異める時、彼曰へり、此に食ふべき物あるか。
42 彼等は炙りたる魚一片と蜜房とを彼に與へたれば、
43 取りて、彼等の前に食へり。
44 又彼等に謂へり、我猶爾等と偕に在りし時、爾等に語りて、モイセイの律法、諸預言者、及び聖詠に、我を指して錄されし事、皆應ふべしと云ひしは、乃是なり。
45 其時彼等の智識を啓きて、聖書を悟らしめたり。
46 又彼等に謂へり、斯く錄されたり、而して斯くハリストスは苦を受け、第三日に死より復活すべかりき。
47 且其名に因りて、悔改と諸罪の赦とは、イエルサリムより始めて、萬民に傳へらるべきなり。
48 爾等は此等の事の證者なり。
49 視よ、我は我が父の許約せし者を爾等に遣さん、爾等イエルサリムの城に居りて、上より能力を衣するに迄れ。
50 イイスス彼等を外に率ゐて、ワィファニヤに至り、手を擧げて彼等に祝福せり。
51 祝福する時、彼等を離れ、擧げられて、天に升れり。
52 彼等之を拜し、大に喜びて、イエルサリムに歸り、
53 恒に殿に在りて、神を頌美祝讚せり、アミン。