2023年01月21日 13:14
第4章 (イオアン福音)
1 イイススは、其門徒を得、及び洗を授くることイオアンより多きを、ファリセイ人が聞きたりと、知りし時、
2 (然れどもイイスス親ら洗を授けしに非ず、其門徒此を爲せり、)
3 乃イウデヤを離れて、復ガリレヤに往けり。 4 彼サマリヤを過ぐるべきに由りて、 5 サマリヤの邑シハリと名づくる處に來れり、イアコフが其子イオシフに與へたる地に近し。 6 彼處にイアコフの井あり。イイスス旅に疲れて、井の傍に坐せり。時約六時なり。 7 サマリヤの婦、水を汲む爲に來れり。イイスス之に謂ふ、我に飮ましめよ。 8 蓋其門徒は食を市はん爲に邑に往けり。 9 サマリヤの婦彼に謂ふ、爾はイウデヤ人たるに、如何にして我サマリヤの婦に飮むを求むるか。蓋イウデヤ人とサマリヤ人とは相交際せざるなり。 10 イイスス之に答へて曰へり、若し爾は、神の賜、及び我に飮ましめよと、爾に言ふ者の誰たるかを知らば、爾自ら彼に求めん、而して彼は爾に活ける水を與へん。 11 婦彼に謂ふ、主よ、爾に汲む器なく、井も亦深し、然らば何より爾に活ける水あるか。 12 爾豈我が祖イアコフより大なるか、彼は我等に此の井を與へ、己も、其諸子も、其家畜も、之より飮みたり。 13 イイスス答へて謂へり、凡そ此の水を飮む者は、復渇かん、 14 然れども我が與へんとする水を飮む者は、世世に渇かざらん、乃我が彼に與へんとする水は、其中に於て永遠の生命に湧く水の泉と爲らん。 15 婦彼に謂ふ、主よ、我に此の水を與へよ、我が渇かず、亦此に來りて汲まざらん爲なり。 16 イイスス之に謂ふ、往きて、爾の夫を呼びて、此に來れ。 17 婦對へて曰へり、我に夫なし。イイスス之に謂ふ、爾が夫なしと言ひしは是なり、 18 蓋爾に五人の夫ありき、而して今ある者は爾の夫に非ず、此れ爾眞を言へり。 19 婦彼に謂ふ、主よ、我觀るに爾は預言者なり。 20 我が先祖は此の山に拜せり、然るに爾等は拜すべき處はイエルサリムに在りと言ふ。 21 イイスス之に謂ふ、婦よ、我を信ぜよ、此の山にも非ず、イエルサリムにも非ずして父を拜せん時は來る。 22 爾等は拜する所を知らず、我等は拜する所を知る、蓋救はイウデヤ人よりするなり。 23 然れども時は來る、今は是なり、眞の禮拜者は神゜を以て眞を以て拜せん、蓋父は是くの如く彼を拜する者を覓む。 24 神は神゜なり、彼を拜する者は神゜を以て眞を以て拜すべし。 25 婦彼に謂ふ、我知る、メッシヤ、卽ハリストスは來らん、彼來る時、悉く我に告げん。 26 イイスス之に謂ふ、是れ我、爾と語る者なり。 27 適其門徒來りて、彼が婦と語れるを異みたれども、一も、爾は何を求むるか、或は之と何を語るかと、云ひし者なし。 28 時に婦其水甕を遺して、邑に往きて、人人に謂ふ、 29 來りて、我が凡そ行ひし事を我に告げし人を觀よ、是れハリストスに非ずや。 30 人人邑を出でて、彼に往けり。 31 此の「際*さい」門徒彼に請ひて曰へり、夫子、食へ。 32 然れども彼は之に謂へり、我に食ふべき糧あり、爾等が知らざる者なり。 33 故に門徒互に言へり、豈孰か彼に食を饋りたる。 34 イイスス彼等に謂ふ、我が糧は我を遣しし者の旨を行ひ、其功を成就するに在り。 35 爾等は尚四月にして収穫は來らんと云ふに非ずや、我爾等に語ぐ、爾等目を擧げて、田を觀よ、已に白くして穫るべし。 36 穫る者は値を得て、實を永遠の生命に積む、播く者も穫る者も共に喜ばん爲なり。 37 蓋彼は播き此は穫ると云へるは、斯に於て眞なり。 38 我爾等を遣して、爾等が勞せざりし所を穫らしむ、他人は勞し、爾等は其勞に入れり。 39 彼の邑の多くのサマリヤ人は婦が、彼は我が凡そ行ひし事を我に告げたりと、證せし言に因りて彼を信ぜり。 40 故にサマリヤ人は彼に就きし時、偕に留らんことを請へり、彼は彼處に留りしこと二日なり。 41 尚多くの者は彼の言に因りて信ぜり。 42 而して婦に謂へり、我等は已に爾の言に因りて信ずるに非ず、蓋自ら聞きて、彼は誠に世の救主ハリストスなりと知れり。 43 二日を越えて、彼彼處を出でて、ガリレヤに往けり。 44 蓋イイスス親ら、預言者は其故土に於て尊ばれずと證せり。 45 ガリレヤに來りし時、ガリレヤ人彼を接けたり、凡そ彼がイエルサリムに節筵の時に行ひし事を見たればなり、蓋彼等も亦節筵に往けり。 46 是に於てイイスス復ガリレヤのカナに來れり、嘗て水を酒に變ぜし所なり。適一の王臣あり、其子カペルナウムに在りて病めり。 47 彼はイイススのイウデヤよりガリレヤに來りしを聞きて、之に就き、下りて其子を醫さんことを請へり、蓋子は死に瀕めり。 48 イイスス之に謂へり、爾等若し休徴と奇蹟とを見ずば、信ぜざらん。 49 王臣彼に謂ふ、主よ、請ふ、我が子の死せざる先に下れ。 50 イイスス之に謂ふ、往け、爾の子は生く。人はイイススの之に言ひし言を信じて往けり。 51 往く時、其諸僕彼に遇ひて、告げて曰へり、爾の子は生く。 52 彼は之に、其何の時に愈え始めしを問ひたれば、彼に謂へり、昨日第七時に熱退けり。 53 父は、此れ卽イイススが彼に爾の子は生くと言ひし時なるを知れり。是に於て彼自ら及び其全家皆信じたり。 54 此れ第二の休徴なり、イイスス イウデヤよりガリレヤに來りて、之を行へり。
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3 乃イウデヤを離れて、復ガリレヤに往けり。 4 彼サマリヤを過ぐるべきに由りて、 5 サマリヤの邑シハリと名づくる處に來れり、イアコフが其子イオシフに與へたる地に近し。 6 彼處にイアコフの井あり。イイスス旅に疲れて、井の傍に坐せり。時約六時なり。 7 サマリヤの婦、水を汲む爲に來れり。イイスス之に謂ふ、我に飮ましめよ。 8 蓋其門徒は食を市はん爲に邑に往けり。 9 サマリヤの婦彼に謂ふ、爾はイウデヤ人たるに、如何にして我サマリヤの婦に飮むを求むるか。蓋イウデヤ人とサマリヤ人とは相交際せざるなり。 10 イイスス之に答へて曰へり、若し爾は、神の賜、及び我に飮ましめよと、爾に言ふ者の誰たるかを知らば、爾自ら彼に求めん、而して彼は爾に活ける水を與へん。 11 婦彼に謂ふ、主よ、爾に汲む器なく、井も亦深し、然らば何より爾に活ける水あるか。 12 爾豈我が祖イアコフより大なるか、彼は我等に此の井を與へ、己も、其諸子も、其家畜も、之より飮みたり。 13 イイスス答へて謂へり、凡そ此の水を飮む者は、復渇かん、 14 然れども我が與へんとする水を飮む者は、世世に渇かざらん、乃我が彼に與へんとする水は、其中に於て永遠の生命に湧く水の泉と爲らん。 15 婦彼に謂ふ、主よ、我に此の水を與へよ、我が渇かず、亦此に來りて汲まざらん爲なり。 16 イイスス之に謂ふ、往きて、爾の夫を呼びて、此に來れ。 17 婦對へて曰へり、我に夫なし。イイスス之に謂ふ、爾が夫なしと言ひしは是なり、 18 蓋爾に五人の夫ありき、而して今ある者は爾の夫に非ず、此れ爾眞を言へり。 19 婦彼に謂ふ、主よ、我觀るに爾は預言者なり。 20 我が先祖は此の山に拜せり、然るに爾等は拜すべき處はイエルサリムに在りと言ふ。 21 イイスス之に謂ふ、婦よ、我を信ぜよ、此の山にも非ず、イエルサリムにも非ずして父を拜せん時は來る。 22 爾等は拜する所を知らず、我等は拜する所を知る、蓋救はイウデヤ人よりするなり。 23 然れども時は來る、今は是なり、眞の禮拜者は神゜を以て眞を以て拜せん、蓋父は是くの如く彼を拜する者を覓む。 24 神は神゜なり、彼を拜する者は神゜を以て眞を以て拜すべし。 25 婦彼に謂ふ、我知る、メッシヤ、卽ハリストスは來らん、彼來る時、悉く我に告げん。 26 イイスス之に謂ふ、是れ我、爾と語る者なり。 27 適其門徒來りて、彼が婦と語れるを異みたれども、一も、爾は何を求むるか、或は之と何を語るかと、云ひし者なし。 28 時に婦其水甕を遺して、邑に往きて、人人に謂ふ、 29 來りて、我が凡そ行ひし事を我に告げし人を觀よ、是れハリストスに非ずや。 30 人人邑を出でて、彼に往けり。 31 此の「際*さい」門徒彼に請ひて曰へり、夫子、食へ。 32 然れども彼は之に謂へり、我に食ふべき糧あり、爾等が知らざる者なり。 33 故に門徒互に言へり、豈孰か彼に食を饋りたる。 34 イイスス彼等に謂ふ、我が糧は我を遣しし者の旨を行ひ、其功を成就するに在り。 35 爾等は尚四月にして収穫は來らんと云ふに非ずや、我爾等に語ぐ、爾等目を擧げて、田を觀よ、已に白くして穫るべし。 36 穫る者は値を得て、實を永遠の生命に積む、播く者も穫る者も共に喜ばん爲なり。 37 蓋彼は播き此は穫ると云へるは、斯に於て眞なり。 38 我爾等を遣して、爾等が勞せざりし所を穫らしむ、他人は勞し、爾等は其勞に入れり。 39 彼の邑の多くのサマリヤ人は婦が、彼は我が凡そ行ひし事を我に告げたりと、證せし言に因りて彼を信ぜり。 40 故にサマリヤ人は彼に就きし時、偕に留らんことを請へり、彼は彼處に留りしこと二日なり。 41 尚多くの者は彼の言に因りて信ぜり。 42 而して婦に謂へり、我等は已に爾の言に因りて信ずるに非ず、蓋自ら聞きて、彼は誠に世の救主ハリストスなりと知れり。 43 二日を越えて、彼彼處を出でて、ガリレヤに往けり。 44 蓋イイスス親ら、預言者は其故土に於て尊ばれずと證せり。 45 ガリレヤに來りし時、ガリレヤ人彼を接けたり、凡そ彼がイエルサリムに節筵の時に行ひし事を見たればなり、蓋彼等も亦節筵に往けり。 46 是に於てイイスス復ガリレヤのカナに來れり、嘗て水を酒に變ぜし所なり。適一の王臣あり、其子カペルナウムに在りて病めり。 47 彼はイイススのイウデヤよりガリレヤに來りしを聞きて、之に就き、下りて其子を醫さんことを請へり、蓋子は死に瀕めり。 48 イイスス之に謂へり、爾等若し休徴と奇蹟とを見ずば、信ぜざらん。 49 王臣彼に謂ふ、主よ、請ふ、我が子の死せざる先に下れ。 50 イイスス之に謂ふ、往け、爾の子は生く。人はイイススの之に言ひし言を信じて往けり。 51 往く時、其諸僕彼に遇ひて、告げて曰へり、爾の子は生く。 52 彼は之に、其何の時に愈え始めしを問ひたれば、彼に謂へり、昨日第七時に熱退けり。 53 父は、此れ卽イイススが彼に爾の子は生くと言ひし時なるを知れり。是に於て彼自ら及び其全家皆信じたり。 54 此れ第二の休徴なり、イイスス イウデヤよりガリレヤに來りて、之を行へり。