2023年01月22日 13:10
第7章 (イオアン福音)
1 厥後イイスス ガリレヤを巡れり、蓋イウデヤを巡らんことを欲せざりき、イウデヤ人彼を殺さんと謀りたればなり。
2 イウデヤ人の節筵なる張幕節近づけり。
3 イイススの兄弟彼に謂へり、此を去りてイウデヤに往け、爾の門徒も爾が行ふ所の事を見ん爲なり。
4 蓋人自ら顯れんと欲して、隱に事を行ふ者ならず。若し爾此等の事を行はば、己を世に顯せ。
5 蓋其兄弟も亦彼を信ぜざりき。
6 イイスス彼等に謂ふ、我の時未だ至らず、爾等の時は恒に備れり。
7 世は爾等を惡む能はず、然れども我を惡む、我其行ふ所の惡しきを證すればなり。
8 爾等は此の節筵に上れ、我は未だ此の節筵に上らず、蓋我の時未だ盈たざるなり。
9 之を彼等に言ひて、ガリレヤに留まれり。
10 然れども其兄弟の節筵に上りし後、彼も亦上れり、昭然ならずして、乃隱然なるが如し。
11 節筵の時、イウデヤ人彼を尋ねて曰へり、彼は安に在るか。
12 民の中に彼の事に於て多くの論ありき、或は善なりと曰ひ、或は否、乃民を惑はすと曰へり。
13 然れどもイウデヤ人を懼るるに由りて、顯に彼の事を言ふ者なかりき。
14 節筵已に半にして、イイスス殿に上りて教へたり。
15 イウデヤ人奇として曰へり、此の人學ばざるに、如何にして書を識れるか。
16 イイスス彼等に答へて曰へり、我が教は我に属するに非ず、乃我を遣しし者に属するなり。
17 人若し彼の旨を行はんと欲せば、斯の教の神よりするか、或は我が己に由りて言ふかを知らん。
18 己に由りて言ふ者は己の榮を求む、之を遣しし者の榮を求むる者は、斯れ眞なる者にして、其衷に不義なし。
19 モイセイ豈律法を爾等に與へしに非ずや、而して爾等の中に律法を守る者なし。爾等胡爲れぞ我を殺さんと謀る。
20 民答へて曰へり、爾魔鬼に憑らる、誰か爾を殺さんと謀る。
21 イイスス答へて彼等に謂へり、我一の業を行ひしに、爾等皆之を奇む。
22 モイセイ爾等に割禮を授けたり、(此れモイセイに由るに非ずして、先祖に由ると雖、)而して爾等安息日に於て人に割禮を行ふ。
23 モイセイの律法の壞られざらん爲に、人安息日に割禮を受くるに、爾等、我が安息日に於て人の全身を愈ししに因りて、我に怒るか。
24 外貌に依りて審する勿れ、乃義の審を以て審せよ。
25 是に於てイエルサリムの或人人曰へり、此れ彼等が殺さんと謀る者に非ずや。
26 視よ、彼明に語る、而して彼等は之に言ふ所なし、豈有司等は彼を誠にハリストスなりと承け認めしか。
27 然れども我等は斯の人の奚れよりするを知る、惟ハリストス來らん時は、其奚れよりするを知る者なからん。
28 厥時イイスス殿に於て、教へて、呼びて曰へり、爾等我をも知る亦我の奚れよりするを知る、然れども我は己に由りて來りしに非ず、乃我を遣しし眞なる者あり、爾等の知らざる者なり。
29 我は彼を知る、蓋我を彼よりし、彼は我を遣せり。
30 是に於て彼等イイススを執へんと謀りたれども、手を彼に措く者なかりき、彼の時未だ至らざればなり。
31 民の中多くの者彼を信じて曰へり、ハリストス來らん時は、豈斯の人の行ひしより多くの休徴を行はんや。
32 ファリセイ等は民が彼の事を斯く論ずるを聞けり、乃ファリセイ等及び司祭諸長は彼を執へん爲に下吏を遣せり。
33 イイスス曰へり、我尚暫く爾等と偕に在りて、我を遣しし者に往かん。
34 爾等我を尋ねて遇はざらん、且我が在る所には、爾等來る能はず。
35 イウデヤ人相語りて曰へり、彼は何に往きて、我等をして彼に遇はざらしめんか、豈彼はエルリン民の中に散じ處る者に往きて、エルリン人を教へんと欲するか。
36 彼が、爾我を尋ねて遇はざらん、且我が在る所には爾等來る能はずと、言ひし言は何の謂ぞや。
37 節筵の末の大なる日に、イイスス立ちて、呼びて曰へり、人渇かば、我に來りて飮め。
38 我を信ずる者は、聖書に云へる如く、其腹より活ける水の川は流れん。
39 之を言ひしは、彼を信ずる者の受けんとする神を指せるなり、蓋聖神゜未だ降らざりき、イイスス未だ榮を受けざればなり。
40 民の中多くの者此の言を聽きて曰へり、斯の人は誠に預言者なり。
41 他の者は曰へり、斯れハリストスなり。又他の者は曰へり、豈ガリレヤよりハリストス來らんや。
42 聖書にはばリストスはダワィドの裔より、且ダワィドの居りし處なるワィフレエムより來ると、云へるに非ずや。
43 是に於て民の中に、彼の事に縁りて、紛論起りたり。
44 其中に或る者彼を執へんと欲したれども、手を彼に措くなかりき。
45 下吏は司祭諸長及びファリセイ等に返りたれば、彼等之に謂へり、爾等何ぞ彼を曳き來らざる。
46 下吏答へて曰へり、人未だ嘗て斯の人の如く言ひしことあらず。
47 ファリセイ等は彼等に答へて曰へり、豈爾等も惑はされしか。
48 有司或はファリセイ等の中に彼を信ぜし者あるか。
49 惟此の民、律法を識らざる者は、詛はるるなり。
50 夜イイススに來りしニコディム、彼等の中の一人なる者は、彼等に謂ふ、
51 豈我が律法は、未だ人の訴を聽かず、其行ふ所を知らざる先に、人を罪するか。
52 彼等答へて曰へり、爾も亦ガリレヤよりするか、尋ねて見よ、預言者はガリレヤより起るなし。
53 是に於て各其家に歸れり。
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