2023年01月22日 13:14
第10章 (イオアン福音)
1 我誠に誠に爾等に語ぐ、羊の牢に入るに、門よりせずして、他の處より踰ゆる者は竊盗なり、强盗なり。
2 門より入る者は羊の牧者なり。
3 門を守る者は彼の爲に啓き、羊は其聲を聽く、己の羊の名を呼びて、之を引き出す。
4 己の羊を出す時、之に先だちて行き、羊彼に從ふ、其聲を識るが故なり。
5 疎き者には從はず、乃之より逃ぐ、疎き者の聲を識らざるが故なり。
6 イイスス此の譬を彼等に謂へり、然れども彼等は其語りしことの何たるを悟らざりき。
7 故にイイスス復彼等に謂へり、我誠に誠に爾等に語ぐ、我は羊の門なり。
8 凡そ我より先に來りし者は、竊盗なり、强盗なり、然れども羊は彼等に聽かざりき。
9 我は門なり、我に由りて入る者は救を得、且入り且出でて、草場を得ん。
10 盗の來るは、唯盗み、殺し、滅さん爲のみ。我の來りしは、其生命を有ち、且豊に之を有たん爲なり。
11 我は善き牧者なり、善き牧者は己の生命を羊の爲に捐つ。
12 牧者ならざる傭者、羊の己に属せざる者は、狼の來るを見て、羊を棄てて逃ぐ、狼は羊を奪ひ、又之を散らす。
13 傭者は逃ぐ、其傭者たるを以てなり、羊を顧みず。
14 我善き牧者にして、我に属する者を識り、我に属する者も亦我を識る。
15 父の我を識るが如く、我も亦父を識る、且我が生命を羊の爲に捐つ。
16 我に又他の羊、此の牢に属せざる者あり、我は彼等をも引くべし、彼等は我が聲を聽かん、而して一の群一の牧者と爲らん。
17 父の我を愛する所以は、此れ蓋我は我が生命を捐つ。復之を受けん爲なり。
18 孰も之を我より奪ふなし、乃我自ら之を捐つ。我に之を捐つる權あり、復之を受くる權あり。我は此の誡を我が父より受けたり。
19 此の言に縁りて、復イウデヤ人の間に紛論起れり。
20 其中多くの者曰へり、彼は魔鬼に憑られて狂ふなり、何ぞ彼に聽く。
21 他の者の曰へり、此れ魔鬼に憑依らるる者の言に非ず、豈魔鬼は瞽者の目を啓くを得んや。
22 イエルサリムに重修節あり、時方に冬なり。
23 イイスス殿に在りて、ソロモンの廊を歩めるに、
24 イウデヤ人彼を環りて曰へり、爾何時までか我等を疑惑せしむる、若し爾ハリストスならば、明に我等に告げよ。
25 イイスス彼等に答へて曰へり、我爾等に告げたり、而して爾等信ぜず、我の我が父の名に因りて行ふ事は、我が爲に證を作す。
26 然れども爾等信ぜず、蓋爾等は我に属する羊に非ず、我が爾等に言ひしが如し。
27 我が羊は我の聲を聽く、我は彼等を識り、彼等は我に從ふ。
28 我は彼等に永遠の生命を與ふ、彼等は世世に滅びず、誰も彼等を我が手より奪はざらん。
29 彼等を我に與へし我が父は萬有より大なり、誰も我が父の手より彼等を奪ふ能はず。
30 我と父とは一なり。
31 時にイウデヤ人復石を取りて、彼を擊たんとせり。
32 イイスス彼等に答へて曰へり、我は多くの善き事を我が父より爾等に示せり、其中何の事に由りて、石を以て我を擊つか。
33 イウデヤ人彼に答へて曰へり、我等は善き事の爲に石を以て爾を擊つに非ず、乃褻瀆の爲、爾が人として己を神と爲すが爲なり。
34 イイスス彼等に答へて曰へり、爾等の律法に錄されしに非ずや、我曰へり、爾等は神なりと。
35 若し神の言を奉ぜし者を神と名づけ、而して聖書廢する能はずば、
36 爾等は父が成聖して世に遣しし者に、其我は神の子なりと云ひしに因りて、爾瀆すと曰ふか。
37 若し我我が父の事を行はずば、我を信ずる勿れ。
38 若し之を行はば、我を信ぜずとも、我が事を信ぜよ、父の我に在り、我も父に在るを知りて、信ぜん爲なり。
39 是に於て復彼を執へんと謀りたれども、彼は其手を避けたり。
40 復イオルダンの外に、イオアンが先に洗を授けし處に往きて、彼處に居たり。
41 多くの者彼に來り、且曰へり、イオアンは何の休徴を行はざりき、然れどもイオアンが彼を指して言ひし事は、皆眞なり。
42 彼處に於て多くの者彼を信ぜり。
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