2023年01月22日 13:25
第16章 (イオアン福音)
1 我が此を爾等に語りしは、爾等の躓かざらん爲なり。
2 人爾等を會堂より逐はん、且凡そ爾等を殺す者は、此を以て神に奉事すと意ふ時至らん。
3 此等の事を行はんとするは、父と我とを識らざるに因りてなり。
4 然れども我が此を爾等に語りしは、爾等が、時の至るに及びて、我が此を爾等に言ひしを憶ひ起さん爲なり、初より此を爾等に言はざりしは、爾等と偕に在りし故なり。
5 今我を遣しし者に往く、而して爾等の中我に、何に往くと、問ふ者なし。
6 惟我が此を爾等に語りしに因りて、憂は爾等の心に盈てり。
7 然れども我眞を爾等に語ぐ、我が往くは爾等の爲に益あり、蓋若し我往かずば、撫恤者爾等に來らざらん、我往かば、彼を爾等に遣さん。
8 彼來りて、罪に於て、義に於て、審判に於て、世を責めん。
9 罪に於ては、其我を信ぜざるに因りてなり、
10 義に於ては、我は我が父に往き、爾等復我を見ざらんとするに因りてなり、
11 審判に於ては、此の世の君の審判せられしに因りてなり。
12 我尚多く爾等に言ふべき事あれども、爾等今容るる能はず。
13 然れども彼、卽眞實の神、來らん時、爾等を凡の眞實に導かん、蓋彼は己に由りて言はんとするに非ず、乃聞かんとする事を云はん、且將來の事を爾等に示さん。
14 彼は我を榮せん、蓋我に属する者より取りて、爾等に示さん。
15 凡そ父の有つ所の者は我に属す、故に我、彼は我に属する者より取りて、爾等に示さんと曰へり。
16 頃して爾等我を見ざらん、復頃くして我を見ん、蓋我父に往く。
17 是に於て其門徒の或者相語りて曰へり、彼が我等に、頃して我を見ざらん、復頃して我を見ん、且我父に往くと云ふは、是れ何ぞや。
18 故に曰へり、彼が頃と云ふは、此れ何事ぞや、我等其言ふ所を知らず。
19 イイススは其己に問はんと欲するを知りて、彼等に謂へり、我が頃して我を見ざらん、復頃して我を見んと、云ひしを爾等相尋ぬるか。
20 我誠に誠に爾等に語ぐ、爾等は哭き哀まん、世は喜ばん、爾等は憂へん、然れども爾等の憂變じて喜とならん。
21 婦は產むに及びて、憂を懷く、其時至ればなり、然れども子を生みし後は、喜に因りて復苦を憶はず、人世に生れたればなり。
22 是くの如く爾等も今憂を懷く、然れども我復爾等を見ん、而して爾等の心は喜ばん、且其喜を爾等より奪ふ者なし。
23 其日に於て爾等我に問ふ所なからん、我誠に誠に爾等に語ぐ、凡そ我が名に因りて父に求むる所は、彼爾等に與へん。
24 今に至るまで爾等我が名に因りて求むる所なかりき、求めよ、然らば得ん、爾等の喜の全からん爲なり。
25 我譬を以て此等の事を爾等に語れり、然れども復譬を以て爾等に語らず、乃明に父の事を爾等示す時至らん。
26 其日に於て爾等我が名に因りて求めん、而して我爾等の爲に父に願はんと曰はず、
27 蓋父親ら爾等を愛す、爾等が我を愛し、且我が神より出でしことを信ぜしに因りてなり。
28 我は父より出でて、世に來れり、復世を離れて、父に往く。
29 其門徒彼に謂ふ、視よ、今爾は明に語りて、一も譬を言はず。
30 今我等は、爾が知らざる所なく、且人の爾に問ふを待たざるを知る、此に縁りて我等は爾が神より出でたるを信ず。
31 イイスス彼等に答へて曰へり、今信ずるか、
32 視よ、時は至る、今已に至れり、爾等各其所に散じて、我を獨遺さん、然れども我獨に非ず、蓋父我と偕に在るなり。
33 我が此を爾等に語りしは、爾等が我に在りて平安を有たん爲なり。世に在りて爾等患難を受けん、然れども勇めよ、我は世に勝てり。
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