2023年01月23日 13:54
第8章 (マルコ福音)
1 當日民極めて多く有りて、食ふ物なかりしに、イイスス其門徒を召して、之に謂ふ、
2 我斯の民を憫む、蓋已に三日我と偕に在りて、食ふ物なし。
3 我若し彼等を飢ゑて其家に歸らしめば、途中に憊れん、蓋其中に遠くより來りし者あり。
4 其門徒彼に答へて曰へり、人此に野に在りて、彼等を飽かしむべき餅を何處より得んや。
5 彼等に問へり、爾等に餅幾何かある。曰く、七。
6 是に於て民に命じて、地に坐せしめ、七の餅を取りて、感謝して之を擘き、其門徒に與へて、之を陳ねしむるに、彼等は民の前に陳ねたり。
7 又些須の小き魚あり、之をも祝福して、前に陳ねしめたり。
8 乃食ひて飽き、其餘りたる屑
七籃を拾へり。 9 食ひし者は約四千人なりき。乃彼等を歸らしめたり。 10 直に其門徒と偕に舟に登りて、ダルマヌファの境に來れり。 11 ファリセイ等出でて彼を詰り、彼を試みて天よりする休徴を求めたり。 12 彼中心より嘆息して曰く、斯の世何ぞ休徴を求むる、我誠に爾等に語ぐ、斯の世に休徴は與へられざらん。 13 乃彼等を離れて、復舟に登りて、彼の岸に往けり。 14 時に其門徒餅を取ることを忘れたり、舟には惟一の餅の外に有らざりき。 15 彼は之に戒めて曰へり、謹みて、ファリセイ等の酵とイロドの酵とを防げ。 16 彼等相議して曰へり、是れ我等に餅なきを指すなり。 17 イイスス之を知りて、彼等に謂ふ、何ぞ餅なきことを議する、爾等猶未だに知らず、未だに悟らざるか、爾の心猶頑なるか。 18 爾等目ありて視ざるか、耳ありて聽かざるか、亦記憶せざるか。 19 我五の餅を五千人の爲に擘きし時、爾等餘屑を拾ひて、幾筐に盈てしか。彼に謂ふ、十二。 20 又七の餅を四千人の爲に擘きし時、餘屑を幾筐に拾ひしか。曰く、七。 21 彼等に謂へり、何ぞ悟らざる。 22 ワィフサイダに來れるに、瞽者を彼に攜へて、之に捫らんことを求むる者あり。 23 彼瞽者の手を執り、之を引きて、村の外に出で、其目に唾し、彼の上に手を按せて、見る所ありやと問へり。 24 彼仰ぎ視て曰へり、我人人の行くこと樹の如くなるを見る。 25 後復手を其目に按せて、彼に仰ぎ視ることを命じたれば、彼愈えて、明に庶物を見たり。 26 乃彼は其家に遣して曰へり、村に入る勿れ、村の内の人に告ぐる勿れ。 27 イイスス其門徒と偕にフィリップのケサリヤの諸村に出でしに、途中其門徒に問ひて曰へり、人人我に言ひて誰とか爲す。 28 彼等對へて曰へり、授洗イオアンと爲し他の者はイリヤと爲し、又他の者は預言者の一人と爲す。 29 彼は之に謂ふ、爾等は我を言ひて誰とか爲す。ペトル彼に對へて曰く、爾はハリストスなり。 30 乃彼等に戒めて、己の事を人に語ぐる勿らしめたり。 31 是に於て始めて彼等に人の子が多くの苦を受け、長老等と司祭諸長と學士等とに棄てられ、且殺されて第三日に復活すべきことを教へたり。 32 彼明に此の事を語れるに、ペトル彼に援きて諫めたり。 33 彼身を轉じて、其門徒を見て、ペトルを戒めて曰へり、サタナ、我より退け、蓋爾は神の事を念はず、乃人の事を念ふ。 34 遂に民を其門徒と共に召して、彼等に謂へり、我に從はんと欲する者は、己を舎て、其十字架を負ひて我に從へ。 35 蓋己の生命を救はんと欲する者は、之を喪はん、我及び福音の爲に己の生命を喪はん者は、之を救はん。 36 蓋人若し全世界を獲とも、己の靈を損はば、何の益かあらん。 37 抑人何を與へて、其靈の償と爲さんや。 38 蓋此の姦惡の世に於て、我及び我の言を耻ぢん者は、人の子も其父の光榮を以て聖なる天使等と偕に來らん時彼を耻ぢん
次章
七籃を拾へり。 9 食ひし者は約四千人なりき。乃彼等を歸らしめたり。 10 直に其門徒と偕に舟に登りて、ダルマヌファの境に來れり。 11 ファリセイ等出でて彼を詰り、彼を試みて天よりする休徴を求めたり。 12 彼中心より嘆息して曰く、斯の世何ぞ休徴を求むる、我誠に爾等に語ぐ、斯の世に休徴は與へられざらん。 13 乃彼等を離れて、復舟に登りて、彼の岸に往けり。 14 時に其門徒餅を取ることを忘れたり、舟には惟一の餅の外に有らざりき。 15 彼は之に戒めて曰へり、謹みて、ファリセイ等の酵とイロドの酵とを防げ。 16 彼等相議して曰へり、是れ我等に餅なきを指すなり。 17 イイスス之を知りて、彼等に謂ふ、何ぞ餅なきことを議する、爾等猶未だに知らず、未だに悟らざるか、爾の心猶頑なるか。 18 爾等目ありて視ざるか、耳ありて聽かざるか、亦記憶せざるか。 19 我五の餅を五千人の爲に擘きし時、爾等餘屑を拾ひて、幾筐に盈てしか。彼に謂ふ、十二。 20 又七の餅を四千人の爲に擘きし時、餘屑を幾筐に拾ひしか。曰く、七。 21 彼等に謂へり、何ぞ悟らざる。 22 ワィフサイダに來れるに、瞽者を彼に攜へて、之に捫らんことを求むる者あり。 23 彼瞽者の手を執り、之を引きて、村の外に出で、其目に唾し、彼の上に手を按せて、見る所ありやと問へり。 24 彼仰ぎ視て曰へり、我人人の行くこと樹の如くなるを見る。 25 後復手を其目に按せて、彼に仰ぎ視ることを命じたれば、彼愈えて、明に庶物を見たり。 26 乃彼は其家に遣して曰へり、村に入る勿れ、村の内の人に告ぐる勿れ。 27 イイスス其門徒と偕にフィリップのケサリヤの諸村に出でしに、途中其門徒に問ひて曰へり、人人我に言ひて誰とか爲す。 28 彼等對へて曰へり、授洗イオアンと爲し他の者はイリヤと爲し、又他の者は預言者の一人と爲す。 29 彼は之に謂ふ、爾等は我を言ひて誰とか爲す。ペトル彼に對へて曰く、爾はハリストスなり。 30 乃彼等に戒めて、己の事を人に語ぐる勿らしめたり。 31 是に於て始めて彼等に人の子が多くの苦を受け、長老等と司祭諸長と學士等とに棄てられ、且殺されて第三日に復活すべきことを教へたり。 32 彼明に此の事を語れるに、ペトル彼に援きて諫めたり。 33 彼身を轉じて、其門徒を見て、ペトルを戒めて曰へり、サタナ、我より退け、蓋爾は神の事を念はず、乃人の事を念ふ。 34 遂に民を其門徒と共に召して、彼等に謂へり、我に從はんと欲する者は、己を舎て、其十字架を負ひて我に從へ。 35 蓋己の生命を救はんと欲する者は、之を喪はん、我及び福音の爲に己の生命を喪はん者は、之を救はん。 36 蓋人若し全世界を獲とも、己の靈を損はば、何の益かあらん。 37 抑人何を與へて、其靈の償と爲さんや。 38 蓋此の姦惡の世に於て、我及び我の言を耻ぢん者は、人の子も其父の光榮を以て聖なる天使等と偕に來らん時彼を耻ぢん