2023年01月23日 13:56
第10章 (マルコ福音)
1 イイスス起ちて彼處を去り、イオルダンの外よりイウデヤの境に來れり。民復彼に集れるに、彼は常の如く復之を教へたり。
2 ファリセイ等就きて、彼を試みて問へり、人其妻を出すは宜しきか。
3 彼答へて曰へり、モイセイは爾等に何を命ぜしか。
4 彼等曰へり、モイセイは離書を書きて、之を出すを許せり。
5 イイスス彼等に答へて曰へり、彼は爾等の殘忍なるに因りて、爾等の爲に此の誡を書せり。
6 然れども造成の始には、神之を男女に造れり。
7 是の故に人は其父母を離れ、
8 其妻に着きて、二の者一體と爲らん、然らば彼等は旣に二人に非ず、乃一體なり。
9 故に神の耦せし者は、人之を分つ可からず。
10 家に在りて其門徒彼に復此の事を問へり。
11 彼は之に謂ふ、其妻を出して他に娶る者は、妻に對して姦淫を行ふなり。
12 妻も若し其夫を棄てて、他に適かば、姦淫を行ふなり。
13 幼兒を彼に攜へ來れるあり、彼等に觸れん爲なり、門徒攜ふる物を戒めたり。
14 然れどもイイスス之を見て、愠りて彼等に謂へり、幼兒の我に就くを容せ、之に禁ずる勿れ、蓋神の國は是くの如き者に属す。
15 我誠に爾等に語ぐ、幼兒の如くに神の國を承けざる者は、之に入るを得ず。
16 乃彼等を抱き、手を其上に按せて、彼等を祝福せり。
17 彼が途に出づる時、或人趨り前みて、彼の前に跪きて問へり、善なる師よ、我永遠の生命を嗣がん爲に、何を爲すべきか。
18 イイスス彼に謂へり、爾は何ぞ我を善と稱ふる、獨神より外に善なる者なし。
19 爾は誡を識れり、淫する勿れ、殺す勿れ、竊む勿れ、妄證する勿れ、欺き取る勿れ、爾の父母を敬へ。
20 彼對へて曰へり、師よ、我幼より皆之を守れり。
21 イイスス彼に目を注ぎて、彼を愛し、而して彼に謂へり、爾に猶一の足らざる事あり、往きて爾の所有を售りて、貧者に施せ、然らば財を天に有たん、且來りて、十字架を負ひて我に從へ。
22 彼此の言に縁りて色沮み、憂ひて去れり、大なる資產を有てる故なり。
23 イイスス環視して、其門徒に謂ふ、富を有つ者の神の國に入るは難き哉。
24 門徒其言に駭けり。イイスス復答へて彼等に謂ふ、小子よ、富を恃む者が神の國に入るは難き哉。
25 駱駝が針の孔を穿るは、富める者が神の國に入るより易し。
26 彼等甚驚きて互に言へり、然らば誰か能く救はれん。
27 イイスス彼等に目を注ぎて曰く、此れ人には能せざる所なれども、神には然らず、蓋神には能せざる所なし。
28 是に於てペトル彼に謂へり、視よ、我等一切を舎てて爾に從へり。
29 イイスス答へて曰へり、我誠に爾等に語ぐ、我及び福音の爲に家、或は兄弟、或は姉妹、或は父、或は母、或は妻、或は子、或は田疇を舎て、
30 而して今斯の時、窘逐の中に在りては、家と、兄弟と、姉妹と、父と、母と、子と、田疇とを百倍多く受け、又未來の世に在りては、永遠の生命を受けざる者あらず。
31 惟多く先なる者は後になり、後なる者は先にならん。
32 イエルサリムに上る時、途中イイスス先だちて行き、彼等駭き且懼れて、之に從へり。彼復十二徒を召して、己に及ばんとする事を語げて
33 曰へり、視よ、我等イエルサリムに上る、人の子は司祭諸長及び學士等に付されん、彼等之を死に定め、之を異邦人に付し、 34 之を辱め、之を鞭ち、之を唾し、之を殺さん、而して彼第三日に復活せん。 35 時にゼウェデイの子イアコフ及びイオアン彼に就きて曰く、師よ、我等の求むる所、願はくは爾我等の爲に之を行へ。 36 彼は之に謂へり、我が爾等の爲に何を行はんことを欲するか。 37 彼曰へり、我等爾が光榮の中に於て、一人は爾の右に、一人は爾の左に坐せんことを賜へ。 38 イイスス彼等に謂へり、爾等の求むる所を知らず。爾等我が飮む爵を飮むことを能するか、我が受くる洗を受くることを能するか。 39 彼等曰へり、能す。イイスス彼等に謂へり、爾等は我が飮む爵を飮み、我が受くる洗を受けん。 40 然れども我が右及び我が左に坐することは、我が與ふべきに非ず、乃備へられたる者に與へられん。 41 十門徒之を聞きて、イアコフ及びイオアンを愠れり。 42 イイスス彼等を召して曰く、諸民の稱して王侯と爲す者其民を主り、大人等其上に權を執るは、爾等の知る所なり、 43 惟爾等の中には斯くある可からず、乃爾等の中に大ならんと欲する者は、爾等の役者と爲る可し、 44 爾等の中に首たらんと欲する者は、衆人の僕と爲るべし。 45 蓋人の子の來りしも、人を役はん爲に非ず、乃人に役はれ、且己の生命を與へて、衆くの者の贖を爲さん爲なり。 46 イエリホンに來る。彼が其門徒及び衆くの民と偕にイエリホンを出づる時、ティメイの子ワルティメイと云ふ瞽者道の旁に坐して乞へり。 47 是れイイスス ナゾレイなりと聞きて、彼呼びて曰へり、ダワィドの子イイススよ、我を憐め。 48 多くの者彼を禁めて默さしむれども、彼愈大に呼べり、ダワィドの子よ、我を憐め。 49 イイスス止りて、彼を呼ばしめたれば人人瞽者を呼びて、之に謂ふ、心を安んぜよ、起て、爾を呼ぶ。 50 彼上衣を棄てて、起ちてイイススに就けり。 51 イイスス答へて彼に謂ふ、我が爾に何を爲さんことを欲するか。瞽者曰く、夫子、我が見るを得んことを。 52 イイスス彼に謂へり、往け、爾の信は爾を救へり。彼直に見るを得て、イイススに路に從へり
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33 曰へり、視よ、我等イエルサリムに上る、人の子は司祭諸長及び學士等に付されん、彼等之を死に定め、之を異邦人に付し、 34 之を辱め、之を鞭ち、之を唾し、之を殺さん、而して彼第三日に復活せん。 35 時にゼウェデイの子イアコフ及びイオアン彼に就きて曰く、師よ、我等の求むる所、願はくは爾我等の爲に之を行へ。 36 彼は之に謂へり、我が爾等の爲に何を行はんことを欲するか。 37 彼曰へり、我等爾が光榮の中に於て、一人は爾の右に、一人は爾の左に坐せんことを賜へ。 38 イイスス彼等に謂へり、爾等の求むる所を知らず。爾等我が飮む爵を飮むことを能するか、我が受くる洗を受くることを能するか。 39 彼等曰へり、能す。イイスス彼等に謂へり、爾等は我が飮む爵を飮み、我が受くる洗を受けん。 40 然れども我が右及び我が左に坐することは、我が與ふべきに非ず、乃備へられたる者に與へられん。 41 十門徒之を聞きて、イアコフ及びイオアンを愠れり。 42 イイスス彼等を召して曰く、諸民の稱して王侯と爲す者其民を主り、大人等其上に權を執るは、爾等の知る所なり、 43 惟爾等の中には斯くある可からず、乃爾等の中に大ならんと欲する者は、爾等の役者と爲る可し、 44 爾等の中に首たらんと欲する者は、衆人の僕と爲るべし。 45 蓋人の子の來りしも、人を役はん爲に非ず、乃人に役はれ、且己の生命を與へて、衆くの者の贖を爲さん爲なり。 46 イエリホンに來る。彼が其門徒及び衆くの民と偕にイエリホンを出づる時、ティメイの子ワルティメイと云ふ瞽者道の旁に坐して乞へり。 47 是れイイスス ナゾレイなりと聞きて、彼呼びて曰へり、ダワィドの子イイススよ、我を憐め。 48 多くの者彼を禁めて默さしむれども、彼愈大に呼べり、ダワィドの子よ、我を憐め。 49 イイスス止りて、彼を呼ばしめたれば人人瞽者を呼びて、之に謂ふ、心を安んぜよ、起て、爾を呼ぶ。 50 彼上衣を棄てて、起ちてイイススに就けり。 51 イイスス答へて彼に謂ふ、我が爾に何を爲さんことを欲するか。瞽者曰く、夫子、我が見るを得んことを。 52 イイスス彼に謂へり、往け、爾の信は爾を救へり。彼直に見るを得て、イイススに路に從へり