2023年01月24日 13:26
第2章 (聖使徒行実)
1 五旬節の日至りて、使徒皆心を一にして共に在り。
2 忽天より聲ありて、迅しき風の度るが如し、彼等が坐せる所の家に滿てり。
3 岐れたる舌、火の如き者、彼等に現れて、各人に止れり。
4 彼等皆聖神゜に滿てられて、異方の言を言ひ始めたり、神の彼等に言はしめしが如し。
5 時に敬虔なるイウデヤ人、天下の諸國から來りて、イエルサリムに居る者あり。
6 此の聲の作りし時、大衆集りて、躁ぎたり、蓋各己の方言を語るを聞けり。
7 皆駭き且奇みて、互に言へり、視よ、此の語る者は皆ガリレヤ人に非ずや。
8 如何にして我等は各我が生れし所の方言を聞くか。
9 我等はバルフィヤ、ミディヤ、エラムの人、メソポタミヤ、イウデヤ及びカッパドキヤ、ポント及びアシヤ、
10 フリギヤ及びパムフィリヤ、エギペト、及びキリネヤに近きリワィヤの地方に居る者、ロマより來りし者、イウデヤ人及び進教者、
11 クリト及びアラワィヤの人たるに、如何にして彼等が我が方言を以て、神の大用を語るを聞くか。
12 皆驚き訝りて、互に言へり、是れ何の意ぞ。
13 又或者は嘲りて曰へり、彼等甜き酒に酣になれり。
14 ペトル十一と偕に立ちて、聲を揚げて、彼等に謂へり、イウデヤの人及び凡そイエルサリムに居る者よ、此れ爾等の知る所と爲るべし、我が言に耳を傾けよ、
15 彼等は、爾等の意ふ如く、酔へるに非ず、蓋今は日の第三時なり、
16 此れ卽預言者イオイリに因りて言ひし所なり、
17 主曰く、末の日に於て、我は我が神゜を以て凡の肉體に注がん、爾等の子女は預言し、爾等の少き者は異象を見、爾等の老いたる者は夢の兆を見ん。
18 彼の日に於て、我は我が神゜を以て、我が僕及び我が婢に注がん、則彼等は預言せん。
19 我奇蹟を上なる天に、休徴を下なる地に施さん、血と火と烟とあらん。
20 日は晦冥に、月は血に變ぜん、此れ主の大にして光榮なる日の未だ來らざる先に在らん。
21 凡そ主の名を呼ばん者は、救を得んと。
22 イズライリの人よ、此の言を聽け、イイスス ナゾレイ、卽神が彼を以て爾等の中に於て、爾等自らも知れる如く、行ひし異能と奇蹟と休徴とに因りて、神より爾等に證せられし人、
23 神の定めたる旨と豫知とに因りて解されし者を、爾等取りて、不法の者の手を以て、十字架に釘して殺せり、
24 然れども神は死の縲を釋きて、彼を復活せしめたり、死は彼を留むること能はざりしに因る。
25 蓋ダワィドは彼を指して曰く、我恒に主を我が前に見たり、蓋彼は我が右に在り、我が動かざらん爲なり。
26 此に因りて我が心は喜び、我が舌は樂めり、我が肉體も望に安んぜん、
27 蓋爾我が靈を地獄に遺さず、爾の聖者に朽つるを見ざらしめん
28 爾我に生命の道を示せり、爾我を爾の顏の前に於て喜に滿たしめんと。
29 兄弟よ、我が太祖ダワィドの事を敢て、爾等に言ふべし、彼は死して葬られ、其墓は今日に至るまで我等の中に在り。
30 然れども彼は預言者にして、神が彼に誓ひて、其裔の中より、肉體に依りて、ハリストスを興して、其位に坐せしめんことを約せしを知りて、
31 先見して、ハリストスの復活を指して、彼の靈は地獄に遺されず、彼の肉體は朽つるを見ざりきと云へり。
32 此のイイススを神は復活せしめたり、我等は皆其證者なり。
33 故に彼は神の右の手にて擧げられて、父より許約せられし聖神゜を受けて、此の今爾等が見る所、聞く所の者を注げり。
34 蓋ダワィドは天に升らざりき、然れども自ら言ふ、主我が主に謂へり、
35 爾我が右に坐して、我が爾の敵を爾の足の凳となすに迄れと。
36 然らばイズライリの全家よ、確に知るべし、爾等が十字架に釘せし此のイイススは、神彼を主と爲し、ハリストスと爲ししことを。
37 彼等之を聞きて、心刺さるるが如し、ペトル及び他の使徒に謂へり、兄弟よ、我等何を爲すべきか。
38 ペトル彼等に謂へり、悔改せよ、而して各罪の赦の爲にイイスス ハリストスの名に因りて、洗を受くべし、然らば聖神゜の賜を受けん。
39 蓋許約は爾等、及び爾等の諸子、又凡の遠き人、卽主我が神が召さんとする者に属す。
40 其他多くの言を以て證して、彼等に勧めて曰へり、此の邪なる世より救はれよと、
41 故に喜びて彼の言を納れし者は洗を受けたり。是の日門徒に加はりし者約三千人なり。
42 彼等は恒に使徒の訓を受け、交際を爲し、餅を擘き、祈禱を行へり。
43 人心皆畏を懷けり、多くの奇蹟と休徴とは、使徒に由りて、イエルサリムに行はれたり。
44 信ずる者皆相集りて、共に諸物を用ゐたり。
45 產業と所有とを販ぎ、各人の需用に從ひて、此を衆に分てり。
46 日々心を一にして殿に在り、家々に餅を擘きて、歓喜と朴直なる心とを以て食を食ひ、
47 神を讚美し、衆民の親愛を獲たり。主は救はるる者を日々教會に加へたり。
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