2023年01月25日 13:52
第13章 (聖使徒行実)
1 アンティオヒヤに在る教會に數人の預言者及び教師あり、卽ワルナワ、シメオン、稱してニゲルと云ふ者、キリネヤの人ルキイ、分封の君イロドと偕に養はれしマナイル、及びサウルなり。
2 彼等が主に奉事して、禁食する時、聖神゜曰へり、我が爲にワルナワ及びサウルを別ちて、我が彼等を召して任ぜしむる職を行はしめよ。
3 是に於て禁食祈禱し、手を其上に按せて、彼等を往かしめたり。
4 斯く彼等は聖神゜に遣されて、セレウキヤに下り、彼處よりキプルに航れり、
5 サラミンに在りて、イウデヤの諸會堂に神の言を傳へたり、イオアンは其役者たりき。
6 彼等島を經て、パフに至り、一人の魔術者にして、僞預言者なるイウデヤ人、名はワルイイススに遇へり、
7 彼は方伯セルギイ パワェルと云ふ智なる人と偕に在り。方伯はワルナワ及びサウルを召して、神の言を聽かんことを望めり。
8 然れどもエリマ(蓋此の名を譯すれば魔術者なり、)彼等に敵して方伯をして信ぜざらしめんと欲せり。
9 サウル又の名はパワェル、聖神゜に滿てられて、彼に目を注ぎて
10 曰へり、噫凡の詭譎と奸惡とを盈つる者、惡魔の子、凡の義の敵よ、爾は主の直き道を枉げて已めざらんか。
11 今視よ、主の手爾に在り、爾瞽と爲りて、暫く日を見ざらん。忽其目矇み暗みて、彼旋りて、相者を尋ねたり。
12 其時方伯行はれし所を見て、主の教を奇として信ぜり。
13 パワェル及び之と偕にせし者はパフより舟行して、パムフィリヤのペルギヤに至り、イオアンは彼等に別れて、イエルサリムに歸れり。
14 彼等ペルギヤを經て、ピシディヤのアンティオヒヤに來り、安息の日に會堂に入りて坐せり。
15 律法と諸預言者とを讀みて後、會堂の宰等使して彼等に謂へり、兄弟よ、若し爾等に民に勧むる言あらば言へ。
16 パワェル起ちて、手を揺かして曰へり、イズライリの人人及び神を畏るる者よ、之を聽け。
17 此の民の神は我が先祖を選びて、民を其エギペトの地に居る時に高うし、又手を擧げて、彼等を彼處より引き出し、
18 約四十年間彼等を野に養ひ、
19 ハナアンの地に於て七の民を滅ぼし、其地を分ちて、彼等に嗣がしめたり。
20 後約四百五十年間彼等に審官を與へて、預言者サムイルに至れり。
21 厥後彼等王を求めたれば、神は彼等にキスの子サウル、ワェニアミンの支派の人を與へて、四十年を歴たり。
22 旣に彼を廢し、ダワィドを興して、彼等の王と爲し、且彼の爲に證して曰へり、我はイエッセイの子ダワィド、我が心に合ふ人を獲たり、彼は悉く我が旨を行はんと。
23 此の人の裔より、神は其許約に遵ひて、イズライリの爲に救主イイススを興せり。
24 其來らんとする時、イオアンはイズライリの全民に悔改の洗禮を傳へたり。
25 イオアン其職を卒ふるに臨みて曰へり、爾等我を誰なりと意ふか、我は彼に非ず、然れども視よ、我に後れて來る者あり、我其足の履を解くにも堪へずと。
26 兄弟よ、アウラアムの族の諸子、及び爾等の中に神を畏るる者よ、此の救の言は爾等に遣されたり。
27 蓋イエルサリムに居る者、及び其有司等は、彼を識らずして、彼を罪に定めて、安息日毎に讀む所の預言者の言を應はせ、
28 一も死に當たる故を獲ずして、ピラトに彼を殺さんことを求めたり。
29 一切彼を指して錄されし事を卒へて後、彼を木より下して、墓に置けり。
30 然れども神は彼を死より復活せしめたり。
31 彼は多日の間、彼と偕にガリレヤよりイエルサリムに上りし者に現れたり、彼等は今民の前に彼を證する者なり。
32 我等も爾等に福音して云ふ、我が先祖に賜はりし許約は、神之をイイススを復活せしめしを以て、其子孫なる我等に應はしめたり。
33 第二の聖詠にも錄されしが如し、云く、爾は我の子、我今日爾を生めりと。
34 又彼を死より復活せしめて、朽壞に歸せざらしめんとする事に至りては、斯く曰へり、我ダワィドに約せし神聖にして信實なる恵を爾等に與へんと。
35 故に他の章にも云ふ、爾の聖者に朽つるを見ざらしめんと。
36 蓋ダワィドは其世代中神の旨に役事して後寝り、其先祖と偕に置かれて、朽つるを見たり。
37 然れども神の復活せしめし者は、朽つるを見ざりき。
38 故に兄弟よ、爾等知るべし、彼に由りて罪の赦は爾等に傳へられ、
39 且爾等が、凡そモイセイの律法に由りて義とせらるるを得ざりし事は、凡の信ずる者彼に由りて義とせらるるなり。
40 然らば愼みて、諸預言者の言ひし事の爾等に臨むを免れよ、
41 曰く、藐る者よ、見て駭き、且亡びよ、蓋我爾等の日に於て一の事を行ふ、人之を爾等に告ぐ偕、爾等信ぜざらんと。
42 彼等がイウデヤの諸會堂より出づる時、異邦人は彼等に次の安息日に此等の言を語らんことを求めたり。
43 會旣に散じて、衆くのイウデヤ人及び敬虔なる進教者はパワェルとワルナワとに從へり、二使徒彼等に語りて、恒に神の恩寵に居らんことを勧めたり。
44 次の安息日に、邑の人幾ど皆神の言を聽かん爲に集まれり。
45 然れどもイウデヤ人は、民を見て、嫉に滿てられ、逆らひ且詬りて、パワェルの言ふ所を拒めり。
46 其時パワェル及びワルナワ毅然として曰へり、神の言は先づ爾等に傳へらるべし、然れども爾等之を棄てて、自ら己を永遠の生命に當らざる者と爲すに由りて、視よ、我等は轉じて、異邦人に向ふ。
47 蓋主は是くの如く我等に命ぜり、云く、我爾を立てて、異邦人の光と爲せり、爾が救と爲りて、地の極に至らん爲なりと。
48 異邦人之を聞きて喜び、主の言を讚美し、永遠の生命に定められし者は皆信じたり。
49 是に於て主の言は、徧く是の地に広まれり。
50 然れどもイウデヤ人は敬虔なる貴き婦及び邑の尊者を唆して、パワェルとワルナワとを窘逐し、之を其境より逐ひ出せり。
51 二人彼等に對して其足の塵を拂ひ、去りてイコニヤに來れり。
52 時に門徒は喜と聖神゜とに滿てられたり。
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