2023年01月25日 14:30
第20章 (聖使徒行実)
1 乱の靖まりし後、パワェル門徒を召して、之を教訓し、之に別を告げ出でてマケドニヤに往けり。
2 其諸地を經て、多くの言を以て信者を教訓して、エルラダに來れり。
3 居ること三月にして、シリヤに航らんと欲せし時、イウデヤ人彼を害せんと謀りたれば、マケドニヤを過ぎて反らんことを定めたり。
4 彼を送りてアシヤに至りし者は、ピルの子ワェリヤの人ソシパトル、フェサロニカの人アリスタルフ及びセクンド、デルワィヤの人ガイ、及びティモフェイ、アシヤの人ティヒク及びトロフィムなり。
5 此の衆は先づ往きて、我等をトロアダに俟てり。
6 我等は除酵節の後に、フィリッピより舟行し、五日にして彼等はトロアダに至り、七日間其處に留れり。
7 七日の首の日、門徒が餅を擘く爲に集りし時、パワェル次の日に往かんと欲して、彼等に講談し、言を續けて夜半に至れり。
8 我等の集れる楼に多くの燈ありき。
9 パワェルの長く講談する時、一の少年、名はエウティフ、窓の上に坐して、熟睡し、睡に因りて、身傾きて、三層楼より下に墜ちたり、之を扶くれば、已に死せり。
10 パワェル下りて、其上に伏し、彼を抱きて曰へり、慌つる勿れ、蓋其靈は猶其中に存せり。
11 復上りて、餅を擘きて食ひ、語ること久しくして、夜の明くるに至り、遂に行けり。
12 彼等少年を攜へ、其生くるを見て、甚慰めたり。
13 我等舟に乗り、先だちてアッソンに往けり、彼處に於てパワェルを接けん爲なり、蓋彼自ら歩行せんと欲して、斯く我等に命じたり。
14 彼アッソンに於て我等に會ひたれば、我等彼を接けて、ミティリナに來れり。
15 彼處より舟を出して、次の日ヒヲスの對面に至り、又次の日サモスに着き、トロギリヤに泊りて、明日ミリトに至れり。
16 蓋パワェルは舟行して、エフェスを過ぎんと定めたり、アシヤに久しく留らざらん爲なり、彼能くすべくば、五旬節の日にイエルサリムに在らんと欲したればなり。
17 彼はミリトよりエフェスに人を遣して、教會の長老等を召したり。
18 彼等が來りし時、之に謂へり、爾等は我がアシヤに來りし初の日より、恒に爾等と偕にせし事の如何を知れり、
19 我は謙遜を竭し、多くの涙を流して、イウデヤ人の惡謀に由りて我に及びし艱難の中に、主に事へ、
20 凡そ益ある所は一も漏さずして、爾等に宣べ、衆人の前にも家々にも教へて、
21 イウデヤ人及びエルリン人に、神の前に悔改して、我が主イイスス ハリストスを信ずべきを勧めたり。
22 今視よ、我神に縛られて、イエルサリムに往く、彼に於て若何なる事に遇はんを知らず。
23 惟聖神゜邑毎に證して、縲絏と患難とは我を俟つと云ふ。
24 然れども我之を意と爲さず、又我が生命を貴しとせず、但願はくは忻びて、我が往く程及び主イイススより受けし職、卽神の恩寵の福音を證することを盡さん。
25 今視よ、我知る、爾等我が素巡りて神の國を傳へし所の者は、皆復我が面を觀ざらん。
26 故に我今日爾等に證す、我は衆の血に與るなし、
27 蓋我は神の旨を漏さずして、悉く爾等に傳へたり。
28 故に爾等自ら愼み、又全群を愼め、乃聖神゜爾等を其中に立てて、監督と爲し、主神が己の血を以て獲たる教會を牧せしむ。
29 蓋我知る、我が去りし後、殘忍なる狼、群を惜まざる者は、爾等の中に入らん、
30 爾等の中より人人起りて、門徒を誘ひ、己に從はしめん爲に、理に悖る事を語らん。
31 故に儆醒して、我が三年間昼夜斷えず、涙を以て爾等各人を誨へしを憶へ。
32 兄弟よ、今我爾等を神及び其恩寵の言、爾等を建て、爾等に凡の聖せられし者の中に嗣業を與ふるを能くする者に託す。
33 人の金銀の衣服は、我未だ之を貪らざりき。
34 爾等自ら知る、此の我が手は我及び我と偕に在りし者の需に供せしを。
35 凡の事に於て我爾等に斯く勞して、柔弱者を扶け、且主イイススの言を憶ふ可きを示せり、蓋彼自ら云へり、與ふるは受くるよりも更に福なりと。
36 言ひ竟りて、彼膝を屈めて、衆と偕に禱れり。
37 彼等皆大に哭き、パワェルの頚に俯して、彼に接吻し、
38 其復我が面を觀ざらんと言ひし言に因りて、殊に憂ひたり。遂に彼を舟に送れり。
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