2023年01月25日 14:36
第21章 (聖使徒行実)
1 我等は彼等に別れて、舟行して、径にコスに至り、次の日ロドスに至り、彼よりパタラに適き、
2 フィニキヤに濟るべき舟に遇ひて、之に登りて行けり。
3 キプルを望み見て、之を左に遺し、シリヤに航り、ティルに着けり、蓋舟は彼に於て載を卸すべかりしなり。
4 我等門徒に遇ひて、此に居りしこと七日。彼等神に因りて、パワェルにイエルサリムに上る勿らんことを言へり。
5 七日を超えて、我等出でて往き、彼等其妻子と偕に我等を送りて、邑の外に至り、岸に在りて我等皆膝を屈めて禱れり。
6 互に別を告げて後、我等は舟に登り、彼等は家に歸れり。
7 我等ティルよりプトレマイダに航りて、舟行を終へたり、彼處に兄弟に安を問ひて、一日與に居りき。
8 次の日パワェル及び我等彼と偕にせし者は出でて、ケサリヤに來り、福音者フィリップ、卽七人の役事の一の家に入りて、共に留れり。
9 彼に四人の女あり、處女にして、預言する者なり。
10 我等が多くの日彼處に居る時、イウデヤより一の預言者、アガフと名づくる者下り、
11 我等に來りて、パワェルの帶を取り、己の手足を縛りて曰へり、聖神゜斯く云ふ、イウデヤ人はイエルサリムに於て此の帶の主を此くの如く縛りて、異邦人の手に付さんと。
12 之を聞きて、我等も此の地の者も彼にイエルサリムに上らざらんことを勧めたり。
13 然れどもパワェル答へて曰へり、爾等胡爲れぞ哭きて、我が心を摧く、蓋我主イイススの名の爲には、第に縛らるるのみならず、イエルサリムに死するも、亦甘ずる所なり。
14 彼が我等の勧を受けざるを見て、止みて曰へり、主の旨成るべし。
15 此の日の後、我等旅装して、イエルサリムに上れり。
16 ケサリヤの門徒數人亦我等と偕に往きて、我等を一の舊き門徒、キプルの人ムナソンの許に送れり、我等を其家に寓らしめん爲なり。
17 我等がイエルサリムに至りし時、兄弟欣びて我等を接けたり。
18 次の日、パワェル我等と偕にイアコフに詣り、長老も皆來れり。
19 パワェル彼等の安を問ひて、一々神が彼の職を以て、異邦民の中に行ひし事を述べたり。
20 彼等此を聞きて、神を讚榮し、又彼に謂へり、兄弟よ、爾は信ぜしイウデヤ人の幾萬なるを見る、皆律法に熱心なる者なり。
21 而して彼等は爾の事に付きて、爾は異邦の中に居る悉くのイウデヤ人に、モイセイに背くを教へて、其子に割禮を行ふ可からず、先祖の例に從ふ可からざることを言ふと聞けり。
22 然らば若何せん、蓋民は爾の來りしを聞きて、必集らん。
23 我等が爾に言ふ所を爲せ、我等に誓願の者四人あり、
24 爾彼等を攜へて、之と偕に潔まれ、代りて其費を贖ひ、彼等に髪を薙るを得しめよ、然らば皆爾に付きて聞きし事の虛しくして、爾自も仍律法を守れるを知らん。
25 信ぜし異邦人に至りては、我等已に書を遺りて、彼等が此くの若き事を守らず、惟偶像に獻げし物と、血と、勒死したる物と、淫行とを戒む可きを定めたり。
26 是に於てパワェル彼の人人を攜へ、次の日彼等と偕に潔まりて、殿に入り、潔の日の盡期、卽彼等各人の爲に獻物を獻ずべき時を告げたり。
27 七日の竟らんとする時、アシヤより來りしイウデヤ人、彼が殿に在るを見て、衆民を騒がし、手を彼に措きて
28 呼べり、イズライリ人よ、助けよ、此の人は四方に衆人に、斯の民と律法と此の所とに敵するを教ふ、且エルリン人を引きて殿に入れ、此の聖なる所を汚せり。
29 蓋彼等は前にエフェス人トロフィムが彼と偕に城に在るを見て、パワェル彼を殿に引き入れたりと意へり。
30 是に於て城擧りて騒ち民は趨せ集り、パワェルを執へて、殿の外に曳き出せり、其門直に閉ざされたり。
31 彼等が之を殺さんと謀れる時、イエルサリムに擧りて乱れたりとの報、隊の千夫長に至りたれば、
32 彼直に兵卒と百夫長とを率ゐ、趨せて彼等に就き、彼等は千夫長と兵卒とを見て、パワェルを扑つことを止めたり。
33 千夫長近づきて、パワェルを取り、二の鉄索を以て繫がんことを命じ、其誰たる、又何事を爲ししかを問へり。
34 民の中或人は此の事を號び、或人は彼の事を號べり。千夫長は騒擾に因りて、實情を知る能はずして、彼を曳きて兵営に入れんことを命ぜり。
35 パワェル階に在りし時、民の擁るに因りて、兵卒彼を負ふに至れり。
36 蓋多くの民は隨ひて、彼を殺せと呼べり。
37 兵営に入らんとする時、パワェル千夫長に謂へり、我爾に言ふ所あり、之を言ふを得べきか。彼曰へり、爾グレチャの言を知れるか、
38 然らば爾は彼のエギペト人、是より先に乱を作し、四千人の賊を率ゐて、野に出でし者に非ずや。
39 パワェル曰へり、我はイウデヤ人、タルスの產、キリキヤの 名邑の住民なり、請ふ、我に民に向ひて言ふを許せ。
40 彼許したれば、パワェル階に立ちて、民に向ひて手を揺かし、大に静默するに及びて、エウレイの言を以て語りて言へり。
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