2023年01月25日 14:37
第22章 (聖使徒行実)
1 兄弟及び諸父よ、請ふ、我が今爾等の目に自ら訴ふる所を聽け。
2 彼等其エウレイの言を以て語るを聞きて、愈静まれり。パワェル曰へり、
3 我はイウデヤ人にして、キリキヤのタルスに生れ、此の城のガマリイルの足下に養はれ、纖に先祖の律法を教へられ、神の爲に熱心なること、今日の爾等衆の如く然り。
4 我曾て死に至るまで、斯の道を窘逐して、男女に論なく、縛りて獄に解せり、
5 司祭長及び衆長老の我が爲に證を爲すが如し、蓋我は彼等より兄弟に遺る書を受けて、ダマスクに往けり、彼處に居る者を縛りて、イエルサリムに曳き來りて、刑を受けしめん爲なり。
6 我往きて、ダマスクに近づける時、約日中、倐天より大なる光ありて、我を環り照せり。
7 我地に仆れて、我に言ふ聲を聞けり、曰く、サウル、サウル、何ぞ我を窘逐する。
8 我對へて曰へり、主よ、爾は誰たる。彼我に謂へり、我は爾が窘逐するイイスス ナゾレイなり。
9 我と偕に在りし者は、光を見て懼れたり、然れども我に語る聲を聞かざりき。
10 我曰へり、主よ、我に何を爲すべきか。主は我に謂へり、起ちてダマスクに往け、彼に於て、凡そ爾が行はん爲に定められし事を、爾に告げられん。
11 其光の輝に縁りて、我見るを得ざりし故に、我と偕に在りし者に手を援かれて、ダマスクに至れり。
12 アナニヤと名づくる者、律法に循ひて敬虔なる人にして、凡そダマスクに居るイウデヤ人に稱せらるる者は、
13 我に來り、旁に立ちて、我に謂へり、兄弟サウルよ、見るを得よ、我卽時に彼を仰ぎ見たり。
14 彼我に謂へり、我が先祖の神は、爾が其旨を知り、義者を見、其口より聲を聞かん爲に、豫め爾を選べり。
15 蓋爾は見し所聞きし所を、彼の爲に、衆人の前に證する者と爲らん。
16 今何ぞ援うする、起ちて、主イイススの名を呼びて、洗を受け、爾の罪を滌へ。
17 我イエルサリムに反りて、殿に禱る時、神゜象外に遊びて、
18 我は主の我に謂ふを見たり、云く、急ぎて、速にイエルサリムより出でよ、蓋此には爾が我の爲にする證を納れざらん。
19 我曰へり、主よ、彼等知る、我嘗て爾を信ずる者を獄に入れ、且諸會堂に打ち、
20 又爾の證者ステファンの血の流されし時、我彼處に立ちて、之を殺すを可とし、之を殺す者の衣を守りしを。
21 主は我に謂へり、往け、我爾を遠く異邦民に遣さん。
22 彼等聽きて、此の言に至れり、是に於て聲を揚げて曰へり、此くの如き者を地より去れ、彼生く可からざればなり。
23 彼等號び、衣を擲ち、塵を空中に揚ぐる時、
24 千夫長はパワェルを曳きて、兵営に入るるを命じ、鞭ちて之を訊すべしと言へり、何の故に彼に向ひて、斯く號べるを知らん爲なり。
25 革帶を以てパワェルを繫ぎし時、彼傍に立てる百夫長に謂へり、ロマの人、且其罪を定めずして、鞭つは可なるか。
26 百夫長此を聞きて、往きて、千夫長に告げて曰へり、爾の爲さんとする所を愼め、蓋此の人はロマ人なり。
27 千夫長就きて、彼に謂へり、我に告げよ、爾はロマ人なるか。彼曰へり、然り。
28 千夫長答へて曰へり、我多くの金を以て此の民藉を得たり。パワェル曰へり、我は生ながらにして然り。
29 是に於て彼を訊さんとする者直に退けり。千夫長は其ロマ人たるを知りて、彼を縛りしことを懼れたり。
30 明日、イウデヤ人が彼を訴ふる故を確に知らんと欲して、其縛を解き、司祭諸長と全公會とに集らんことを命じ、パワェルを攜へ出でて、彼等の前に立たしめたり。
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