2023年01月25日 14:42
第23章 (聖使徒行実)
1 パワェル公會に目を注ぎて曰へり、兄弟よ、我良心を盡し、神の前に生を度りて、今日に至れり。
2 司祭長アナニヤは側に立てる者に命じて、其口を擊たしめたり。
3 其時パワェル彼に謂へり、粉堊の壁よ、神は爾を擊たん、爾は法に依りて我を審かん爲に坐するに、法に違ひて我を擊つを命ず。
4 側に立てる者曰へり、爾神の司祭長を詬しるか。
5 パワェル曰へり、兄弟よ、我其司祭長たるを知らざりき、蓋錄せるあり、爾の民の有司を誹る勿れと。
6 パワェル其半はサッドゥケイ等、半はファリセイ等なるを知りて、會中に呼びて曰へり、兄弟よ、我はファリセイにして、ファリセイの子なり、死者の復活を望むに因りて、我今審を受く。
7 彼が此を言ひし後、サッドゥケイ等とファリセイ等との間に爭起りて、會衆相分れたり。
8 蓋サッドゥケイ等は復活なく、天使も神゜もなしと言ひ、ファリセイ等は皆之れ有りと認む。
9 遂に大なる號起れり、ファリセイの黨學士等起ちて、爭ひて曰へり、我等此の人に一も惡あるを見ず。若し神゜或は天使の彼に言ひしことあらば、我等神に敵す可からざるなり。
10 爭益劇しきに因りて、千夫長はパワェルが彼等に裂かれんことを恐れて、兵卒に命じて、下りて彼を其中より奪ひ、兵営に引き入らしめたり。
11 次の夜、主は彼に現れて曰へり、パワェルよ、勇め、蓋爾我の事をイエルサリムに證せし如く、是くの如くロマに證すべし。
12 旦に及びて、或イウデヤ人黨を結び、共に誓ひて、パワェルを殺すに至るまで食はず飮まずと曰へり。
13 此の誓を爲しし者は四十人餘なり。
14 彼等は司祭諸長及び長老等に就きて曰へり、我等はパワェルを殺すに至るまで何をも食はずと誓を發せり。
15 故に爾等今、公會と與に彼の事を尚詳に訊さんと欲する状を爲して、千夫長に告げて、明日彼を爾等の前に引き下らしめよ、我等は其未だ近づかざる前に、彼を殺す備を爲せり。
16 パワェルの姉妹の子此の陰謀を聞きて、來り、兵営に入りて、パワェルに告げたり。
17 パワェル一の百夫長を呼びて曰へり、此の少者を千夫長に攜へ往け、此の者彼に告ぐべき事あればなり。
18 彼は之を攜へて、千夫長に至りて曰へり、囚者パワェル我を呼びて、此の少者を爾に攜へ往かんことを請へり、彼爾に言ふべき事あり。
19 千夫長其手を援きて、僻處に退きて問へり、爾は我に何の告ぐる所あるか。
20 彼曰へり、イウデヤ人は尚詳にパワェルの事を問はんと欲する状を爲して、爾に明日彼を公會の前に引き下さんことを請はんと相約せり。
21 爾彼等に從ふ勿れ、蓋其中の四十人餘は、陰に彼を謀りて、彼を殺すに至るまで食はず飮まずと誓へり、今彼等備を爲して、爾の許を俟つ。
22 千夫長は少者を戒めて、爾斯の事を我に告げたりと、何人にも語る勿れと言ひて、之を去らしめたり。
23 乃百夫長二人を召して曰へり、兵卒二百人、騎兵七十人、戟を持つ者二百人を備へよ、今夜第三時よりケサリヤに往かん爲なり。
24 又畜を備へよ、パワェルを乗せて、方伯フェリクスに送らん爲なり。
25 且書を致せり、左の如し、
26 クラウディイ リシヤは尊憲なる方伯フェリクスの安を問ふ。
27 此の人イウデヤ人に執はれ、將に殺されんとせしを、我其ロマ人たるを知りて、兵卒を率ゐ、趨きて之を拯ひたり。
28 彼等が之を訴ふる故を知らんと欲して、之を引きて、其公會に至りしに、
29 彼が訴へらるるは、惟彼等の律法の論究に因るのみにして、一も死或は縲絏に當る罪あるを見ざりき。
30 然れどもイウデヤ人が此の人を害せんと謀ることの、我に示されしに因りて我直に彼を爾に送り、訴ふる者にも爾の前に彼を訴へんことを命じたり。願はくは平安なれ。
31 是に於て兵卒は命に遵ひ、パワェルを取りて、夜アンティパトリダに引き至れり。
32 明日、騎兵をして之を送らしめ、其餘は兵営に歸れり。
33 騎兵はケサリヤに來り、書を方伯に呈して、パワェルを其前に立てたり。
34 方伯書を讀み竟りて、彼が何の県に属するかを問ひ、其キリキヤの人たるを知りて
35 曰へり、爾を訴ふる者の來らん時、我爾に聽かん。乃命じて、彼をイロドの公廨に守らしめたり。
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