2023年01月25日 14:44
第24章 (聖使徒行実)
1 五日の後、司祭長アナニヤは長老等及び一の弁士テルトゥルと與に下りて、パワェルを方伯に訴へたり。
2 パワェルが召されし時、テルトゥル訴へて曰へり、
3 尊憲なるフェリクスよ、我等が爾に由りて太平を獲、且此の民が爾の賢慮に藉りて善く治めらるることは、我等時に隨ひ、感謝に堪へずして、之を承け認む。
4 然れども我多く爾を煩はさずして、爾の寬宥を以て我等の片言を聽かんを求む。
5 我等は此の人を見て、疫病の如き者、天下に居る悉くのイウデヤ人の中に乱を作す者、ナザレトの異端の首たる者、
6 殿を汚すことをも試みし者と爲して、彼を執へ、我が律法に依りて審かんと欲せり。
7 然れども千夫長リシヤ來りて、甚しく强ひて、彼を我等の手より奪ひて、爾に遣し、
8 我等彼を訴ふる者にも爾に往くを命ぜり。爾自ら彼を訊さば、我等が彼を訴ふる諸端を知るを得ん。
9 イウデヤ人も之を確めて、此等の事誠に然りと云へり。
10 方伯首を以て示して、パワェルに言はしめたれば、彼答へて曰へり、我爾が多年此の民に公義の審判者たるを知れるが故に、更に喜びて我が事情を弁ぜん。
11 爾知るを得べし、我禮拜の爲にイエルサリムに上りしより、十二日を踰えず、
12 而して彼等は我が殿に於ても、會堂に於ても、城に於ても、人と爭論し、或は民を乱すを見ざりき。
13 亦今我を訴ふる事を確證するを得ず。
14 我惟此の事を爾の前に承け認む、卽我は彼等が異端と名づくる道に循ひて、我が先祖の神に事へ、凡そ律法と諸預言者とに錄されし事を信じ、
15 神に賴りて、義及び不義なる死者の復活のあらんことを望む、彼等も亦望む所の如し。
16 故に我自らも勵みて、恒に神の前及び人の前に責めなき良心を保たんことを勉む。
17 多年を歴て後、我は施濟を我が民に爲し、又禮物を獻ぜん爲に來れり。
18 之を行ふ際、我已に潔まりて、民と偕に在らず、騒擾の中に在らざる者を、殿に見たる人あり。
19 此れ卽アシヤより來りし數イウデヤ人なり、彼等若し我に對して言ふべきことあらば、今爾の前に在りて、我を訴ふべかりしなり。
20 抑玆に在る者は、我が公會の前に立てる時、我に何の不義あるを見しか、之を言ふべし。
21 或は此の一言か、卽我は彼等の中に立ちて、呼びて、我死者の復活の教の爲に今日爾等より審を受くと、曰ひしことなり。
22 フェリクス聞き竟りて、更に詳に斯の道を知りて、彼等の事を延ばして曰へり、千夫長リシヤの來らん時、我爾等の訴へを定めん。
23 是に於て百夫長に命じて、パワェルを守らしめ、而して之を緩やかにし、其近親の何人にも彼に事へ、或は彼に來るを禁ぜざらしめたり。
24 數日の後、フェリクスは其妻イウデヤの女ドルジラと與に來り、パワェルを召して、其ハリストス イイススを信ずる道を講ずるを聽けり。
25 彼公義と節制と將來の審判とを講ずるに、フェリクス漸く懼れて、答へて曰へり、今退け、我暇を得ば、爾を召さん。
26 且彼はパワェルが釋を得ん爲に彼に金を與へんことを望めり、故に屡之を召して共に語れり。
27 然れども二年を超えて、ポルチイ フェストはフェリクスに代りて、其職を承けたり。フェリクス悅をイウデヤ人に得んと欲して、パワェルを遺して、仍其繫を釋かざりき。
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