2023年01月27日 13:25
第1章 (イアコフ公書)
1 イアコフ、神及び主イイスス ハリストスの僕は、散じ處る十二支派の安を問ふ。
2 我が兄弟よ、爾等種種の試誘に遇ふ時は、之を大なる喜と爲せ、
3 爾等の信の試は忍耐を生ずるを知ればなり。
4 惟忍耐は完全なる行爲を顯すべし、爾等が完備純全にして、一も缺くることなからん爲なり。
5 若し爾等の中に智慧の足らざる者あらば、夫の咎むるなくして、徑に衆に與ふる神に求むべし、然らば彼に與へられん。
6 唯信を以て毫も疑はずして求むべし、蓋疑ふ者は風に掀げられて碎かるる海の浪に似たり。
7 此の如き人は何をか主より受けんと想ふ勿れ。
8 貳心の人は其凡の路に於て固からず。
9 卑き兄弟は其高きを以て誇と爲し、
10 富める者は其卑きを以て誇と爲せ、蓋彼は草の花の如く逝ぎん。
11 日出でて、熱して草を枯らせば、其花は落ち、其容の美しきは亡ぶ、富める者も是くの如く其途に枯る。
12 忍耐して試誘を受くる人は福なり、蓋其試みられて後、主が彼を愛する者に約せし生命の冕を受けん、
13 誘はるる時、何人も我神に誘はると言ふ勿れ、蓋神は惡に誘はれず、自も亦人を誘はず。
14 卽人各己の慾に引かれ、餌せられて、誘はるるなり。
15 慾旣に孕みて、罪を生じ、罪成りて、死を生ず。
16 我が至愛の兄弟よ、自ら欺く勿れ。
17 凡の善なる施、凡の全備なる賜は、上より、光明の父より降るなり、彼には變易なく、遷移の影もなし。
18 彼は己の旨に循ひて、眞實の言を以て、我等を生めり、我等が其造りし物の初實の果と爲らん爲なり。
19 故に我が至愛の兄弟よ、凡の人は聽くに速に、言ふに遲く、怒るに遲かるべし。
20 蓋人の怒は神の義を行はず。
21 是を以て爾等凡の汚と餘れる惡とを去りて、溫柔にして、栽うる所の言、能く爾等の靈を救ふ者を接けよ。
22 且言を行ふ者と爲れ、第聞くのみにして、己を欺く者と爲る勿れ。
23 蓋言を聞きて行はざる者は、其本來の面を鏡に視る人に似たり。
24 彼は己を視て去り、直に其若何なるかを忘れたり。
25 然れども自由の全備なる律法を鑒みて、之に居る者は、彼聞きて忘るる者に非ず、乃功を行ふ者と爲りて、其行ふ所に福ならん。
26 若し爾等の中誰か自ら敬虔なりと意ひて、己の舌に勒を著けず、乃己の心を欺かば、其敬虔は徒然なり。
27 神及び父の前に純潔にして無玷なる敬虔は、卽孤と嫠とを其患難の間に顧み、且自ら守りて、世に汚されざるに在り。
次章