2023年01月27日 13:30
第3章 (イアコフ書)
1 我が兄弟よ、多くの者師と爲る勿れ、我等が鞫を受けんこと更に嚴しきを知ればなり。
2 蓋我等皆多くの愆を爲す。若し人言に愆なくば、是れ全き人にして、其全體に勒を着くるを得るなり。
3 視よ、馬の我等に馴はん爲に、我等勒を其口に置きて、其全體を馭す。
4 視よ、又舟に大なる者にして、且裂しき風に逐はると雖、小き舵を以て、舵師の望む所に運轉せらる。
5 是くの如く舌も小き體なりと雖、大なるを以て誇る。視よ、微なる火は物を燃すこと何ぞ多き。
6 舌も亦火なり、不義の飾なり、舌は我が百體の中に在りて、能く全體をけがし、能く我が一生の範圍を燃して、己は地獄より燃さる。
7 蓋凡の禽獣昆蟲鱗介の類は制せらる、且人類に制せられたり。
8 惟舌は、人能く之を制するなし、此れ抑へ難き惡にして、死の毒を滿つる者なり。
9 我等之を以て神及び父を祝讚し、亦之を以て神の肖に循ひて造られたる人人を詛ふ。
10 一の口より祝讚と詛とは出づ、我が兄弟よ、此くの如き事あるべからず。
11 豈泉は一の穴より甘き及び苦き水を出すか。
12 我が兄弟よ、無花果の樹は橄欖を結び、或は葡萄の樹は無花果を結ぶを得んや。是くの如く亦一の泉は鹹き及び甘き水を出す能はず。
13 爾等の中智慧及び見識ある者は誰ぞ、善き行に由りて、智なる溫柔を以て、其爲す所を彰すべし。
14 然れども若し爾等心の中に苦き妬嫉と忿爭とを懷かば、誇る勿れ、眞實に對して謊る勿れ。
15 此の智慧は上より降るに非ず、乃地に屬し、靈に屬し、魔鬼に屬する者なり。
16 蓋妬嫉と忿爭と在る所には、乱と凡の惡しき事と在るなり。
17 上よりする智慧は第一に潔淨、次に和平、溫良、柔順にして、矜恤及び善き果を充て、偏視せず、僞善ならず。
18 義の果は、和平を行ふ者に、和平を以て播かる。
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