2023年02月02日 13:42
第11章 (ロマ書)
1 是の故に我曰ふ、神は其民を棄てしか。非らず。蓋我も亦イズライリ人にして、アウラアムの裔、ワェニアミンの支派に属す。
2 神は其豫知せし所の民を棄てざりき。爾等豈聖書がイリヤの事を言ふを知らずや、卽彼はイズライリを神に訴へて曰ふ、
3 主よ、彼等は爾の預言者を殺し、爾の祭壇を毀てり、我獨遺りしに、彼等は我が生命をも取らんと謀る。
4 然れども神の應は何をか彼に言ふ、我己の爲に七千人を遺せり、ワアルの前に膝を屈めざりし者なりと。
5 是くの如く今の時にも、恩寵の選に依りて、遺れる者あり。
6 然れども若し恩寵に由らば、則功に由らず、否らざれば恩寵は旣に恩寵ならず。若し功に由らば、則此れ恩寵に非ず、否らざれば功は旣に功に非ず、
7 然らば何ぞや、イズライリは求むる所を得ざりき、選ばれたる者は之を得て、其餘の者は頑になれり、
8 錄されしが如し、云く、神は彼等に矇寐の心、見ざる目、聞かざる耳を與へて、今日に至れり。
9 ダワィドも亦云く、願はくは彼等の席は網と爲り、機と爲り、礙と爲りて、彼等に報を爲さん。
10 願はくは彼等の目は昏みて、見るを得ず、彼等の背は常に屈まんと。
11 故に我曰ふ、彼等の躓きしは倒れん爲なるか。非らず。然れども彼等の躓に由りて、救は異邦人に及べり、彼等を嫉ましめん爲り。
12 若し彼等の躓は世界の富と爲り、彼等の乏しきは異邦人の富と爲らば、況や彼等の充滿をや。
13 蓋我爾等異邦人に言ふ、我は異邦人の使徒として、我が職を榮す、
14 或は如何にしてか我が骨肉の親属の嫉を起して其中の或者を救ふを得ん。
15 蓋若し彼等の棄てらるることが世界の復和と爲らば、彼等の納れらるることは、死よりする生命に非ずして何ぞや。
16 若し初穫聖ならば、全団も亦然り、若し根聖ならば、枝も亦然り。
17 若し或枝は折られ、爾野の橄欖たる者其中に接がれて、橄欖の根と汁とに與る者と爲りたらば。
18 枝に對して誇る勿れ。若し誇らば、爾は根を保つに非ずして、根は爾を保つを思へ。
19 爾曰はん、枝の折られたるは、我が接がれん爲なりと。
20 善し、彼等の不信に由りて折られ、爾は信に由りて立てり、高ぶる勿れ、乃懼れよ。
21 蓋神若し本性の枝を惜しまざりしならば、爾をも亦惜しまざらん。
22 故に神の慈と嚴しきとを視よ、卽躓きし者には嚴しきなり、爾若し神の慈に止らば、爾には慈なり、否らずば、爾も斫り離されん。
23 彼等も亦若し不信に止まらずば、接がれん、神は復彼等を接ぐを能すればなり。
24 蓋若し爾本性の野の橄欖より斫られ、本性に反して、嘉き橄欖に接がれしならば、況や是の本性の者が本の橄欖に接がれんをや。
25 兄弟よ、蓋我爾等が此の奥義を知らざるを欲せず、爾等が己を恃みて智なりとせざらん爲なり、卽頑なる心がイズライリの幾分にか及びしは、異邦人の滿數の入る時に至らんのみ。
26 斯く悉くのイズライリは救はれん、錄されしが如し、云く、救ふ者はシオンより來りて、不虔をイアコフより退けん。
27 且我が彼等の罪を除かん時、我が彼等と立つる所の約は乃此なりと。
28 福音に對しては、彼等は爾等に縁りて敵なり、選に對しては、先祖に縁りて愛せらるる者なり。
29 蓋神の賜と召とは易らざるなり。
30 昔爾等神に順ならざりしが、今彼等の不順に由りて、矜恤を得しが如く、
31 斯く彼等も、今爾等が矜恤を得ん爲に不順なり、自も後に矜恤を得ん爲なり。
32 蓋神は衆人を不順の中に閉せり、衆人に矜恤を施さん爲なり。
33 嗚呼深い哉神の富と智慧と知識や、其定は如何に測り難く、其道は如何に究め難き。
34 蓋孰か主の智慧を知りたる、或は孰か彼と共に議る者たりし、
35 抑孰か先づ彼に與へて、其報を受くべき。
36 蓋萬物は彼に本づき、彼に倚り、彼に属す。光榮は彼に世世に歸す、アミン。
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