2023年02月03日 14:26
第9章 (コリンフ前書)
1 我使徒たるに非ずや。我自主たるに非ずや。我イイスス ハリストス我等の主を見しに非ずや。爾等は主に於て我の工たるに非ずや。
2 設ひ我他人の爲に使徒たらずとも、爾等の爲には是なり、蓋爾等は主に於て我の使徒職の印なり。
3 我を議する者に我が答ふる所は是なり。
4 我等豈食ひ飮む權なきか。
5 我等豈姉妹なる妻を攜ふること、他の使徒及び主の兄弟、及びキファの如く然る權なきか。
6 抑獨我とワルナワとは工作せざる權なきか。
7 誰か軍士と爲りて、己の給養を以て勤むるをせん。誰か葡萄を樹ゑて、其果を食はざらん。誰か群を牧して、羣の乳を食はざらん。
8 我唯人の情に循ひて之を言ふか。律法も亦斯く言ふに非ずや。
9 蓋モイセイの律法に錄して云く、穀物を踐み落す牛には口を閉づる勿れと。神は牛の爲に慮るか。
10 抑之を言ふは、特に我等の爲にするか。是れ我等の爲に錄されたり、蓋耕す者は、望ありて耕すべし、穀物を踐み落す者は、其希望する所を獲る望ありて之を爲すべし。
11 若し我爾等の中に神゜に属する物を播きたらば爾等の身の属する物を穫るは、豈大事ならんや。
12 若し他人此の權を爾等の中に獲ば、況や我等をや。然れども我等は此の權を用ゐざりき、乃凡の事を忍ぶ、ハリストスの福音に聊も阻礎を置かざらん爲なり。
13 爾等豈知らずや、聖事を務むる者は、殿に由りて食を得、祭壇に事ふる者は、祭壇より其分を取るを。
14 是くの如く主も福音を傳ふる者に、福音に由りて生活するを命じたり。
15 然れども我は此等の事を一も用ゐざりき。亦此を書せしは、此くの如く我に行はしめん爲に非ず。蓋我寧死すとも、人をして我が誇る所を虛しきに歸せざらしめん。
16 蓋我若し福音を傳へば我に誇るべき所なし、此れ我が分の爲すべき所なればなり、若し福音を傳へずば、我禍なる哉。
17 蓋若し我甘んじて此を行はば、賞を得ん、若し甘んぜずば、乃我に託せられし職を行ふのみ。
18 然らば我が賞は何に由るか。我福音を傳へて、人をして費なくハリストスの福音を得しめ、福音する時我が權を用ゐざるに由る。
19 蓋我衆に對して自主なりと雖、己を衆に服役せしめたり、更に多くの者を獲ん爲なり。
20 我イウデヤ人の爲には、イウデヤ人の如く爲れり、イウデヤ人を得ん爲なり、律法下の人の爲には、律法下の人の如く爲れり、律法下の人を獲ん爲なり。
21 律法なき人の爲には、我神の前に律法なきに非ずして、ハリストスの律法下に在る者は律法なき人の如く爲れり、律法なき人を獲ん爲なり。
22 弱き人の爲には、我弱き人の如く爲れり、弱き人を獲ん爲なり。凡の人の爲には、凡の者と爲れり、凡の法を以て或人々を救はん爲なり。
23 我が福音の爲に此を行ふは、共に之に與る者と爲らん爲なり。
24 爾等豈知らずや、馳塲に趨る者は、皆趨れども、唯一人賞を獲るを。爾等獲んことを期して趨れ。
25 凡そ勝ちを爭ふ者は諸事を節制す、彼等は壞れ易き冕を受けん爲、我等は壞れざる冕の爲なり。
26 故に我が趨るは定向なきが如きに非ず、我が戰ふは、空気を擊つが如きに非ず。
27 乃我の體を制して之を服せしむ、他人を教へて、自ら棄てらるる者と爲らざらん爲なり。
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