2023年02月10日 13:22
第6章 (ティモフェイ前書)
1 凡そ軛の下に在る僕は、己の主を以て全く敬ふべき者と爲すべし、神の名と教との其知られざらん爲なり。
2 信者たる主に屬する僕は、其兄弟なる故を以て、之を軽んずべからず、乃益勤むべし、其信者にして、愛せらるる者、恩寵に與る者たるに因りてなり。爾此等を教へ且勸めよ。
3 異なることを教へ、我等の主イイスス ハリストスの醇正なる言、及び敬虔の教に従はざる者は、
4 自ら驕り、知る所なく、討論爭弁の病あり、之よりして娼嫉、分爭、訕謗、惡しき疑、
5 又智慧を乱し、眞實を失ひ、敬虔を以て利を獲る者なりと意ふ人々の空論は生ず。爾是くの如き者より遠ざかれ。
6 敬虔にして、足ることを知るは大なる利なり。
7 蓋我等は何者をも世に攜へ來らざりき、何者をも之より攜へ去るを得ざること明なり。
8 食あり、衣ありて、我等足れりと爲すべし。
9 富を得んと欲する者は、誘に、網に、人を災難と沈淪とに溺らす所の無智にして害ある多くの慾に陷るなり。
10 蓋利を貪るは萬惡の根なり、或者は之に耽りて、信より離れ、多くの苦を以て自ら刺せり。
11 神の人よ、爾此等を避けて、義、敬虔、信、愛、忍耐、温柔を追へ。
12 信の善き戰を戰ひ、永遠の生命を執れ、爾は之に召されて、多くの證者の前に善き承認を作せり。
13 我萬有に生を施す神の前、及びポンティイ ピラトに對して善き承認を證せしハリストス イイススの前に於て爾に命ず、
14 玷なく、責むべきなく、我等の主イイスス ハリストスの顯現に至るまで、誡を守らんことを。
15 神は其期に届りて、此の顯現を示さん、卽有福にして、獨一權能なる神、諸王の王、諸主の主、
16 獨一不死を有つ者、近づく可からざる光に居る者、人の未だ曾て見ず、又見ること能はざる者なり。願はくは彼に尊榮と永遠の權能とは歸せん、アミン。
17 爾此の世に於て富める者に戒めよ、彼等が高ぶらずして、定まりなき富を恃むなく、乃我等に樂との爲に豐に一切を賜ふ活ける神を恃み、
18 恩惠を行ひ、善行に富、悋まずして施を爲し、善く人と交り、
19 斯くして永遠の生命を得ん爲に、未來に善き基を爲す財を己に蓄へんことを。
20 嗚呼ティモフェイよ、爾に託せし事を守りて、妄なる虛言、及び偽りて知識と稱する反論を避けよ、
21 或者は之に耽りて、信に背けり。願はくは恩寵は爾と偕に在らんことを、アミン。