2023年05月25日 14:03
第72聖詠
アサフの詠。
1 神は何ぞイズライリ人に、心の淨き者に仁慈なる。
2 唯我は我が足幾んど蹶き、我が歩殆んど失へり、
3 我惡者の安樂を見て、狂妄の者を嫉めり、
4 蓋彼等は死に至るまで苦なく、其力も健なり、
5 彼等は人の苦勞に與らず、人と偕に撃たれず。
6 故に驕慢は彼等を環ること首飾の如く、強暴は彼等を纏ふこと衣の如し、
7 其目は其肥えたるに因りて出で、其思は心の中に徨ふ、
8 嘲りて息めず、惡を懷きて讒言を敷き、高ぶりて言ふ、
9 其口を天に騰げ、其舌は地に往來す。
10 故に主の民も彼處に向ひ、滿ちたる器より水を飮みて
11 云ふ、神は如何にして知らん、至上者に知ることあるか。
12 視よ、此の惡者は斯の世に安樂して、其財を增す。
13 我は謂へり、我豈に徒に我が心を淨め、我が手を無罪の中に盥ひ、
14 毎日傷を受け、毎朝責を被りしに非ずや。
15 然れども我若し此くの如く計らんと云はば、我爾の諸子の族の前に罪を得ん。
16 我思へり、如何にして之を悟らん、唯是れ我が目の前に難くして、
17 我が神の聖所に入りて、彼等の終を悟るに迨べり。
18 然り、爾彼等を滑なる途に立てて、彼等を淵に陷る。
19 何ぞ彼等は遽に壞れ、消え、懼に依りて滅びたる。
20 夢の覺むるが如く、主よ、爾彼等を覺まして、其想像を消さん。
21 我が心の沸き、我が中情の裂くる時、
22 我無智にして悟るなく、畜の如く爾の前に在りき。
23 然れども我は常に爾と偕にし、爾は我が右の手を執る、
24 爾の訓諭にて我を導き、後我を光榮に納れん。
25 天には我に誰かある、地にも爾と偕にせば願ふ所なし。
26 我が身と我が心とは弱れり、神は我が心の固なり、世世に我の分なり。
27 蓋視よ、爾に遠ざかる者は亡び、凡そ爾に離るる者は爾之を滅す。
28 我に在りては神に近づくは善し。我主神に我が恃を負はせたり、爾悉くの行爲をシオンの女の門の内に傳へん爲なり。
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