2023年06月10日 15:45
第106聖詠
(アリルイヤ)
1 主を讚榮せよ、蓋彼は仁慈にして、其憐は世世にあればなり。
2 主に救はれし者は此くの如く云ふべし、卽主が敵の手より救ひ、
3 各地より集め、東より西より北より海より集めし者なり。
4 彼等は曠野に、人なき途に徨ひ、人の住へる城邑に遇はざりき、
5 飢ゑ且渇きて、彼等の靈は其内に消えんとせり。
6 然れども其憂の中に主に呼びたれば、主は彼等を其患難より脫し、
7 彼等を直き途に導きて、人の住へる城邑に往かしめたり。
8 主を其憐と、其人の諸子の爲に行ひし奇迹に緣りて讚榮すべし、
9 蓋彼は其渇ける靈を滿たせ、飢うる靈を善き物に飽かしめたり。
10 彼等は闇冥と死の蔭に坐し、憂と鐵に縛られたり、
11 蓋神の言に從はず、至上者の旨を輕んぜり。
12 主は苦勞を以て彼等の心を降せり、彼等蹶きて助くる者なかりき。
13 然れども其憂の中に主に呼びたれば、主は彼等を其患難より救ひ、
14 彼等を闇冥と死の蔭より引き出し、其縛を截てり。
15 主を憐と、其人の諸子の爲に行ひし奇迹に緣りて讚榮すべし、
16 蓋彼は銅の門を破り、鐵の柱を折けり。
17 不智なる者は其不法の途と其不義の爲に苦めり、
18 彼等の靈は凡の食を厭ひ、彼等は死の門に近づけり。
19 然れども其憂の中に主に呼びたれば、主は彼等を其患難より救ひ、
20 其言を遣して彼等を療し、彼等を其墓より脫せり。
21 主を其憐と、其人の諸子の爲に行ひし奇迹に緣りて讚榮すべし、
22 讚美の祭を彼に獻じ、歌を以て其作爲を宣ぶべし。
23 舟に乘りて海に浮かび、事を大水に行ふ者は、
24 主の作爲を見、其奇迹を淵に見る、
25 彼言へば、暴風起りて、高く其波を騰ぐ、
26 天に升り、淵に降り、彼等の靈は患難に由りて消えんとす、
27 彼等は轉び且搖らるること酔へる者の如し、其悉くの智慧は消ゆ。
28 然れども其憂の中に主に呼びたれば、主は彼等を其患難より引き出せり。
29 彼は狂風を變じて平穏となす、波は平なり。
30 彼等其靜なるを樂む、主は彼等を攜へて其望む所の埠に至らしむ。
31 主を其憐と、其人の諸子の爲に行ひし奇迹に緣りて讚榮すべし、
32 彼を民の會に尊崇し、彼を長老の會に讚美すべし。
33 彼は河を變じて野となし、泉を變じて槁壌となし、
34 豐なる地を變じて鹵の地となす、此に住む者の不虔に因りてなり。
35 彼は野を變じて池となし、乾ける地を變じて泉となし、
36 餒うる者を彼處に居らしむ、彼等は住居の爲に城邑を建て、
37 田に種を蒔き、葡萄園を作り、多く其實を得るなり。
38 主は彼等に福を降し、大に彼等を增加せしめ、彼等の家畜をも減らさず。
39 迫害と苦難と憂患によりて、彼等減ぜられて衰へたり、
40 主は辱を牧伯に被らせ、其路なき野に徨ふに任す。
41 惟貧しき者を患難より引き出し、其族を羊の群の如くに增す。
42 義人は之を見て悅び、凡の不法は其口を塞ぐ。智なる者は此を監みて主の憐を悟らん。
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